臓器移植患者の予後およびQOLの向上のための真菌やウイルス感染症の予防・診断・治療に関する研究

文献情報

文献番号
201028027A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植患者の予後およびQOLの向上のための真菌やウイルス感染症の予防・診断・治療に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 一山 智(京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学)
  • 井上 直樹(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 大野 秀明(国立感染症研究所 生物活性物質部)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部 造血幹細胞移植)
  • 木内 哲也(名古屋大学医学部 移植外科学)
  • 木村 宏(名古屋大学大学院医学系研究科 微生物・免疫学講座)
  • 錫谷 達夫(福島県立医科大学微生物学教室 微生物学)
  • 谷口 修一(虎の門病院 血液内科)
  • 森 康子(神戸大学大学院医学研究科 臨床ウイルス学)
  • 吉川 哲史(藤田保健衛生大学医学部 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
57,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器移植患者におけるウイルス感染症と真菌感染症に焦点をあてて臨床と基礎の両面からの研究を通じて、臓器移植患者における感染症対策によるQOLの向上を図る。
研究方法
臓器移植患者におけるウイルス感染症対策のための研究として、移植患者病棟における呼吸器ウイルス感染症、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)やサイトメガロウイルス(CMV)感染症、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症、等の実態解明と対策立案、インフルエンザワクチン等のワクチンの安全性と有効性、新規抗ヘルペスウイルス化合物の作用点解析、マルチプレックスリアルタイムPCR法によるJCウイルス等の定量システム、移植後ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)感染症、HHV-6に対する細胞性免疫能の測定法、生体肝移植後の感染症の発症率、起因微生物、危険因子の包括的観察、および侵襲性アスペルギルス症の発症危険因子、真菌の潜伏感染メカニズムの解明、新規技術を用いた真菌感染症迅速診断技術開発、等の研究がなされた。
結果と考察
造血幹細胞移植患者における呼吸器ウイルス感染症を前方視的に調査し、院内感染と予後との関連を明らかにした。CMVおよびVZVによる中枢神経感染症や薬剤耐性単HSV-1感染症、活動性CMVを高感度に検出した上で薬剤感受性を解析するためのPML法、新規抗ウイルス薬開発と作用機序、HHV-6に対する特異的リンパ球幼若化反応の評価システム、等に関する研究成果が得られた。生体肝移植後の患者における侵襲性アスペルギルス症の全国的実態調査、新規クリプトコックス抗原検出ELISAキットの作製、肝移植後慢性期に安定した小児患者を対象とした季節性インフルエンザと新型インフルエンザのワクチン接種(異時)を行ない、有効性と安全性を評価した。肝移植後慢性期の患者に再活性化阻止を目的にHBs抗原ワクチン接種し、その有効性と安全性を検討した。患者血液から真菌DNAを回収して菌種を同定する方法を確立した。患者血液から細菌のRNAを回収し、菌の検出と菌種同定を行う方法を確立した。HHV-6に対する細胞性免疫能測定方法を確立した。リアルタイムRT-PCR法によるHHV-6の3クラス遺伝子(前初期、初期、後期)発現の定量的解析法を確立した。
結論
基礎的な研究から臨床的な研究まで幅広く実施された。造血幹細胞移植患者や臓器移植患者は増加し、これらの患者における感染症対策の重要性は増すことはあっても低下することはない。造血幹細胞移植を含む臓器移植患者の予後やQOLを改善するにはさらなる研究が求められる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028027Z