ハンセン病の再発・再燃、難治症例に対する予防・診断・治療とハンセン病の啓発に関する研究

文献情報

文献番号
201028025A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンセン病の再発・再燃、難治症例に対する予防・診断・治療とハンセン病の啓発に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
向井 徹(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部)
研究分担者(所属機関)
  • 甲斐雅規(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部 )
  • 鮫島朝之(国立療養所 星塚敬愛園)
  • 鈴木 幸一(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部 )
  • 前田 百美(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部 )
  • 牧野 正彦(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 感染制御部 )
  • 野上 玲子(国立療養所 菊池恵楓園)
  • 石井則久(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
55,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ハンセン病は、WHOの推進するMDTにより登録患者数の減少がみられる。しかし、世界的な新規ハンセン病患者は、年間二十数万人を数え、減少傾向を示さない。さらに、耐性菌によるハンセン病の再発・再燃への対応が必要である。そのため、 包括的対処法を明らかにするため、1.薬剤耐性ハンセン病に関する研究及び調査、2.再燃・再発患者に対する血清診断法およびモニタリングシステムの開発、3.ワクチン・免疫療法の開発、4.ハンセン病の理解の促進を目的とした。
研究方法
1.薬剤耐性菌に関しては、各種薬剤耐性検出法の開発、耐性と遺伝子変異相関の迅速判定法の開発を行った。各国の耐性菌調査を行った。2.らい菌MMP IIを抗原とし、再発例の病理解析、細胞性免疫能の評価法の構築を行った。3.ワクチン開発では、らい菌MMP IIとHsp70融合分泌型urease遺伝子破壊BCG株の各種免疫誘導能の評価を行った。菌接種幼若サル、新生仔サルの経過観察を行った。4.ハンセン病療養所に残る資料のアーカイブ化を行った。皮膚科医を中心にハンセン病に関する講習会を開催し、ネットワークの構築を進めた。
結果と考察
1.新規変異検出法、HPRT-PCR法の開発を行い、臨床応用を進める。メキシコ、ベトナム、ミャンマーで耐性変異を検査し耐性菌の存在を確認した。2.再発例皮膚生検で菌陰性・抗体染色陽性例があり、細胞性免疫能の評価より、INF-γ、IL-10陽性T細胞は入所者群で少ない傾向であった。3.組換えBCGは、キラーT細胞を非常に強く活性化しかつパーフォリン産生性CD8陽性キラーT細胞を産生した。4.ハンセン病資料アーカイブズ活用として、開所当初の死亡者来歴、診療日誌、またENL治療薬の投与状況は、更なる研究の発展に供することができる。皮膚科医に対する教育を行った。社会生活する回復者向けに、気軽に受診・相談できる医師一覧を更新した。
結論
本研究成果より、1.薬剤耐性らい菌の世界的現状把握を可能にする。2.再燃患者の早期診断を可能にする。3.改良型BCGおよびらい菌感染モデルサルは、ワクチンや免疫療法の開発に繋がる。4.資料アーカイブは、今後の診療に有益と考えられた。医療関係者への継続的な教育と、回復者に対する一般医療機関への受診の促しの必要性があった。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028025Z