リケッチアを中心としたダニ媒介性細菌感染症の総合的対策に関する研究

文献情報

文献番号
201028024A
報告書区分
総括
研究課題名
リケッチアを中心としたダニ媒介性細菌感染症の総合的対策に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岸本 壽男(岡山県環境保健センター 岡山県環境保健センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 典男(静岡県立大学食品栄養科学部微生物学研究室)
  • 猪熊  壽(帯広畜産大学獣医学研究部門内科学・感染症学)
  • 川端 寛樹(国立感染症研究所細菌第一部第四室)
  • 堤   寛(藤田保健衛生大学医学部第一病理学)
  • 高田 伸弘(福井大学医学部)
  • 岩崎 博道(福井大学医学部病態制御医学講座内科学(1)領域)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 林  哲也(宮崎大学フロンティア科学実験総合センター)
  • 内山 恒夫(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 山本 正悟(宮崎県衛生環境研究所微生物部)
  • 藤田 博己(財団法人大原綜合病院付属大原研究所)
  • 松本 道明(高知県衛生研究所保健科学課)
  • 鈴木 正嗣(岐阜大学応用生物科学部)
  • 阿戸 学(国立感染症研究所免疫部第二室)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所ウイルス第一部第五室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
48,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、リケッチアを中心としたダニ媒介性細菌感染症に対して総合的対策を実施することを目指している。
研究方法
具体的には、①疫学的研究、②臨床的研究、③検査・診断的研究、④基礎的研究、⑤予防・啓発的研究の5本の柱をたてて、それぞれの専門家、研究者間で統合的にかつ有機的に研究を進めてきた。
結果と考察
今年度は、まず①疫学的研究を、ヒト、病原体、ベクター、動物、環境面から広く行い、今後リスクマップを作製するための情報をさらに集積した。その中で、依然多くの発生がみられる新型つつが虫病に加え、東北地方で再興が明らかになった古典型つつが虫病の実態解明と対策についても検討した。また近年急増している日本紅斑熱のほか、R.japonica以外の紅斑熱群リケッチアによる紅斑熱や、ヒトアナプラズマ症、複数のダニ媒介性病原体の共感染症例、輸入リケッチア症などに関する実態調査と対策について研究を行った。②臨床的研究としては、多医療施設での症例解析をもとに臨床像や重症化の病態解析を進めるとともに、将来治療指針等の作成や有効薬剤の保検適応につなげることも視野に入れて、治療法のエビデンスの蓄積を行った。その中で、日本紅斑熱症の重症な合併症として昨年報告した感染性電撃性紫斑病について、本年は急劇な経過で死亡した一例を経験し報告した。③検査・診断的研究としては、日本紅斑熱の簡易・迅速診断法としての間接赤血球凝集反応を検討した。間接免疫ペルオキシダーゼ反応と比較したところ、感度・特異性ともに相関性が高く、有用であると考えられた。また病理学的診断法の有用性について、本年度は臨床像や病態の解析、重症化予防、治療法等へつなげるための病理学的な検討成績を追加した。④基礎的研究として、発症や重症化のメカニズム、複数菌感染時の病態、薬剤の作用機序等に関して、細胞レベル、宿主の免疫学的レベル、病原体のゲノムレベルでの解析を進めた。⑤予防・啓発的研究では、感染リスクの高い地域の一部でダニの防除薬の効果についての検討を始めた。有効な予防啓発法の検討をするため、市民におけるリケッチア感染症の認知度調査を行うとともに、地方衛生研究所等における啓発活動として啓発リーフレットの作成を行った。周知活動については一部の多発地域でも、風評被害への恐れの影響から活動が困難な状況も明らかとなったことから、啓発用ホームページ(HP)の作製準備を始めた。
結論
リケッチアを中心としたダニ媒介性細菌感染症に対して、さらに①疫学的研究、②臨床的研究、③検査・診断的研究、④基礎的研究、⑤予防・啓発的研究を進めることが、総合的対策の実施には欠かせない。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028024Z