節足動物が媒介する感染症への効果的な対策に関する総合的な研究

文献情報

文献番号
201028023A
報告書区分
総括
研究課題名
節足動物が媒介する感染症への効果的な対策に関する総合的な研究
課題番号
H21-新興・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小林 睦生(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小西 英二(神戸大学大学院保健学研究科国際保健学領域)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス第1部)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所副所長)
  • 川田 均(長崎大学熱帯医学研究所病害動物学分野)
  • 津田 良夫(国立感染症研究所昆虫医科学部)
  • 沢辺 京子(国立感染症研究所昆虫医科学部)
  • 山内 健生(富山県衛生研究所)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所ウイルス第1部)
  • 冨田 隆史(国立感染症研究所昆虫医科学部)
  • 柴田 伸一郎(名古屋市衛生研究所微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
48,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
デング熱、チクングニア熱、日本脳炎、クリミヤ・コンゴ出血熱などの予防、診断、防除対策、人に寄生するシラミ類の殺虫剤抵抗性発達状況の調査、人に咬着しリケッチア等の病原体を媒介するマダニ類の野外調査などを行い、媒介蚊の冬期間の越冬生理、住環境周辺での行動等を含めて、病原体と媒介動物の両面から総合的な感染症対策を確立する。
研究方法
節足動物媒介性感染症の血清、遺伝子診断法の確立のための技術の確立のために、患者血清の入手、プライマーの設計等をおこなった。また、将来のDNAワクチン開発を目指した基礎的な研究をおこなった。野外調査に関して、媒介蚊の発生状況をトラップによる捕集等で行い、特に九州でのコガタアカイエカの長距離飛行の証明のために農業害虫捕集トラップからのサンプルを入手した。また、野生動物からのマダニの採集、全国規模でのアタマジラミの収集、媒介蚊幼虫防除法の野外試験等を行った。
結果と考察
国内外の捕集蚊からのウイルス分離し、JEVに関して遺伝子構造の比較をおこなった。 デングワクチンが誘導する中和抗体と感染増強抗体が詳細に解析された。 チクングニア熱以外のアルファウイルスの検出法を確立した。地方衛生研究所間での検査技術の共有化が可能となった。 ヒトスジシマカ成虫の8分間ヒト囮法による発生密度の評価法を都市部の公園等で評価し、防除対策の緊急度を決定することが可能となった。本邦産マダニ類が保有する種々病原体の検索を行った。アタマジラミ駆除剤抵抗性の発達状況を全国的に調査した。疾病媒介節足動物類からのRDV法および新しい手法を用いた未知のウイルスの探索システムの構築した。 イノシシ高密度生息地におけるマダニ相を解明し、日本脳炎ウイルスの「越冬説」検証の基礎資料とする。
結論
国内外で捕集された蚊からC6/36細胞培養系でウイルス分離を行い、未知のウイルスの検索を続けている。ヒトスジシマカのピレスロイド抵抗性の原因となる遺伝子突然変異(kdr)を同定した。吸血性の不快昆虫でるトコジラミの殺虫剤抵抗性コロニーを見つけた。チクングニア熱は、臨床症状、流行地域などデング熱と類似点が多いため、正確な鑑別診断を確立した。また、陽性コントロール遺伝子を合成し、地方衛生研究所に配布し、検査態勢を構築した。大阪府の路上生活者由来コロモジラミから、バルトネラ遺伝子を高い頻度で検出した。また、東南アジアの子供達由来アタマジラミから同病原体遺伝子を検出した。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028023Z