予防接種後健康被害審査の効率化に関する研究

文献情報

文献番号
201028018A
報告書区分
総括
研究課題名
予防接種後健康被害審査の効率化に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-018
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
多屋 馨子(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 安井 良則(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 田中 敏博(JA静岡厚生連 静岡厚生病院 小児科)
  • 落合 雅樹(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 新井 智(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 佐藤 弘(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 山本 久美(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
19,125,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
電子化予防接種後副反応報告書と、集計・検索システムを構築し、迅速かつ効率的な解析を行うことを目的とする。国内外の副反応情報を収集し、先進的とされる海外の副反応サーベイランスシステムを調査する。副反応の集積があった場合は、国家検定の試験項目を副反応に関する調査及び解析に用いるパラメータとして整理できるかどうか検討を行う。
研究方法
電子化副反応報告書と入力説明動画の作成を行い、適切な情報の収集に努める。紙媒体報告書を電子化し、構築したシステムに登録する。集計・検索機能を充実させ、迅速かつ効率的に解析できるようにする。先進的とされる外国を訪問し、予防接種後健康被害救済制度ならびに予防接種後副反応情報を調査し、国際的な症例定義としてBrighton collaborationが作成している副反応症例定義を翻訳する。ワクチン成分と予防接種後副反応報告との関連を検討するために行っている国家検定の試験項目について新しい品質管理試験法について検討する。
結果と考察
「予防接種後健康被害解析システム」が完成した。紙媒体報告書は平成19年1月以降電子化し登録した。自治体が入力しやすい電子媒体報告書を作成し、動画ファイルによる入力説明書を作成した。米国VAERSのように、異常シグナルを探知し、国家検定の試験項目とあわせて検討することで、副反応の原因究明に貢献できる。一方、重篤な予防接種後副反応が発生した場合、迅速な過去データの集計解析が可能となり、電子化された記録が保管蓄積されていることは、緊急対応に貢献することが期待される。今後は、予防接種後副反応事例に関する積極的疫学調査を含めた迅速な対応とともに、国として平常時のサーベイランスシステムの構築が必要である。デンマーク、フィンランド、韓国、カナダ、米国のシステムについて情報収集し意見交換を行えたことは、わが国のシステムを構築する上で極めて有用であった。
結論
本研究班で作成した「予防接種後健康被害解析システム」の集計・解析・検索機能を充実させた。自治体の意見を取り入れた電子化報告書の作成と報告書入力説明動画を作成した。接種者数とともに、平常時から副反応情報を蓄積しておくことは、異常な集積があった場合の緊急対応に極めて有用である。先進的とされる諸外国の制度を参考にしながら、わが国の実情に応じた予防接種後副反応報告システムを構築していくことが喫緊の課題である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

文献情報

文献番号
201028018B
報告書区分
総合
研究課題名
予防接種後健康被害審査の効率化に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-018
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
多屋 馨子(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 安井 良則(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 田中 敏博(JA静岡厚生連 静岡厚生病院 小児科)
  • 落合 雅樹(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 新井 智(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 佐藤 弘(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 山本 久美(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
予防接種後副反応に関する国内外の情報を収集し、国民に正しい情報を提供し、副反応の集積があった場合に適切な対応がとれるしくみを構築することを目的とする。
研究方法
日本版VAERS(Vaccine adverse events reporting system)を構築する。自治体の意見を取り入れ、入力チェック機能を搭載した電子媒体報告書を作成し、過去の報告書の電子化とシステムへの登録を行う。先進的とされる諸外国の予防接種後健康被害救済制度ならびに予防接種後副反応情報、情報収集解析方法を調査する。予防接種後副反応報告とワクチンの品質管理の分野を連携させた研究を行う。
結果と考察
平成19年1月から平成23年1月までに報告された定期接種後の副反応について、副反応名の分類分けとともに、システムに登録した。報告書の問題点が明らかとなったため、改善策を組み込んだ電子媒体報告書を作成した。電子媒体の作成を容易にするために、自治体の意見を取り入れ、入力説明用の動画を作成した。Brighton collaborationが作成している症例定義の翻訳、予防接種と副反応の考え方を分かりやすく記した著書「Do Vaccines Cause That?!」の翻訳、特に先進的な国を訪問して予防接種後副反応報告システムと健康被害救済システムについて情報を収集する等、海外の情報を積極的に調査した。副反応情報と国家検定情報の連携は不可欠であり、必要な情報を関係機関で共有し有効に活用される仕組みが必須であることを報告した。電子化された記録が保管蓄積されていると、2011年2月のような重篤な有害事象の集積があった場合も、迅速な集計解析が可能となり、緊急対応に貢献することが期待される。今後は、予防接種後副反応事例に関する積極的疫学調査を含めた迅速な対応が必要であり、報告書の効率的かつ迅速な送付に関してより良いシステムを構築することが求められる。
結論
予防接種後副反応は、平常時からサーベイランスしておくことが重要であり、有害事象の異常集積を探知し、積極的疫学調査とともに、適切な対応がとれるよう制度を構築しておくことが喫緊の課題である。そのためには予防接種後副反応報告を電子化し、迅速かつ効率的に集計・検索・解析できるシステムを運用していく必要がある。更に、接種者数を迅速に把握し、有害事象の頻度を正しく評価するしくみが必要である。先進的な諸外国の制度を参考にしながら、わが国の実情に応じた日本版VAERSを構築するとともに、予防接種の安全性に関する基礎研究との機能的な連携が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201028018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
予防接種後副反応とワクチンの品質管理試験成績との関連性を調査することで、副反応の発生に関連するワクチン側のリスク因子が明らかになることが期待されることから、国家検定の試験項目について、調査及び解析に用いるパラメータとして整理した。
臨床的観点からの成果
先進諸外国に学びながら、わが国の状況に適合した形で予防接種後副反応サーベイランスのしくみを構築し、有害事象を迅速に探知し、適切な対応が行えるような監視システムを構築した。これらが機能すれば、安心して接種を受けられる環境を整えていくことが可能となる。
ガイドライン等の開発
「予防接種後健康被害認定申請・予防接種後副反応報告管理システム運用マニュアル」、「予防接種後副反応報告書操作手順」紙媒体ならびに動画ファイルを作成した。
その他行政的観点からの成果
平成19年1月-平成23年1月に報告された副反応報告書を電子化したことで、報告書の問題点が明らかとなり、改善した電子媒体報告書を作成した。接種後健康被害補償、副反応に対する対応について先進的とされる諸外国について情報収集を行い、わが国への導入を検討した。予防接種後健康被害解析システムの構築を行った。自治体の意見を取り入れ、動画説明ファイルを作成し、全国で説明会が開催できるようにした。副反応の集計が容易となり、データの検証も容易となった。
その他のインパクト
Brighton collaborationが作成している国際化予防接種後副反応報告症例定義を翻訳し、米国で発行された予防接種と副反応の考え方を分かりやすく記した著書「Do Vaccines Cause That?!」についても翻訳することにより、海外情報を共有した。この著書は、予防接種後副反応に関する認識の理解を深めるために極めて有用な著書であり、わが国の予防接種に対する副反応への理解に繋がることが期待された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
16件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Baba K,Okuno Y,Tanaka-Taya K,et al.
Immunization coverage and natural infection rates of vaccine-preventable diseases among children by questionnaire survey in 2005 in Japan
Vaccine , 29 (16) , 3089-3092  (2011)
原著論文2
Yuen CT,Horiuchi Y,Asokanathan C,et al.
An in vitro assay system as a potential replacement for the histamine sensitisation test for acellular pertussis based combination vaccines.
Vaccine , 28 (21) , 3714-3721  (2010)
原著論文3
Kataoka M,Yamamoto A,Ochiai M,et al.
Comparison of acellular pertussis based combination vaccines by Japanese control tests for toxicities and laboratory models for local reaction.
Vaccine , 27 (13) , 1881-1888  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
2015-06-09

収支報告書

文献番号
201028018Z