テロの可能性のある病原体等の早期検知・迅速診断法の開発とその評価法の確立に関わる研究

文献情報

文献番号
201028006A
報告書区分
総括
研究課題名
テロの可能性のある病原体等の早期検知・迅速診断法の開発とその評価法の確立に関わる研究
課題番号
H20-新興・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 加来 義浩(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 高橋 英之(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 堀野 敦子(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 牧野 壮一(帯広畜産大学 大動物特殊疾病研究センター)
  • 倉園 久生(帯広畜産大学 畜産衛生学研究部門)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 黒田  誠(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 岩本 愛吉(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 松本 哲哉(東京医科大学 微生物学講座)
  • 中村  修(慶応義塾大学 環境情報学部)
  • 尾家 重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
74,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオテロ関連病原体の迅速診断検査、病原体分離同定と検査ネットワークの整備と人材育成、および病原体ゲノムデータベースの作製、臨床診断支援法の構築とアップデート、そして病原体の除染法を確立することを目的とする。
研究方法
バイオテロ関連病原体等の迅速診断法を開発し地衛研にも導入する。次世代シーケンサによる超高速病原体ゲノム解読システム、未知の病原体も検出できるシステムを構築する。地衛研におけるバイオテロ対応能力強化と人材育成を行う。バイオテロ関連疾患の臨床診断支援法としてバイオテロ対応ホームページのアップデート、Web情報の管理方法、情報公開の仕組みに関する研究開発を行う。
結果と考察
本年度は、1950年代の野兎病菌感染ヒト病理組織を検討した。バイオテロ用の網羅的ウイルス遺伝子PCR法を改善し地衛研に配布した。豚のレストンエボラウイルスの各種抗体検出系の開発と検査への応用で性能を評価した。ニパウイルスの抗原検出ELISAの検出感度を明らかとし、狂犬病ウイルスの陽性対照RNAを保護カプセル化した。直接蛍光抗体法によるペスト菌の特異的検出法を確立した。鼻疽および類鼻疽菌のレファレンス菌株を増強し、LAMP法の開発を行った。炭疽菌、鼻疽菌、類鼻疽菌、ペスト菌、コクシエラ菌、オウム病病原体、レジオネラといった細菌のスクリーニングPCR法キットを作製し、4か所の地衛研で評価した。リケッチア属のLAMP法を開発した。次世代シーケンサを用いた細菌ゲノム情報解析を行い、大陸・国・地域に特徴的な遺伝情報を取得し、系統分類解析法を整備した。ボツリヌスG型毒素に対する診断用血清の作製し標準化をはかった。バイオテロ関連微生物で汚染を受けたものの消毒には酢添加の次亜塩素酸ナトリウムが、また吸収されるものには過酢酸が有効であった。全国地衛研の協力体制を構築し、細菌を対象とする迅速キットについて評価検討した。バイオテロ対応ホームページについて研究協力者をえて新たに23種類のバイオテロ関連疾患が追加執筆された。HPの安定した公開を目的として、管理システムを実運用できるよう調整した。初期の目標をおよそ達成できた。
結論
バイオテロ関連病原体等の迅速検出法の新たな開発については順調に開発できた。地衛研に細菌検出キットを作製し配布し評価し、問題点を明かにした。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

文献情報

文献番号
201028006B
報告書区分
総合
研究課題名
テロの可能性のある病原体等の早期検知・迅速診断法の開発とその評価法の確立に関わる研究
課題番号
H20-新興・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 加来 義浩(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 高橋 英之(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 堀野 敦子(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 牧野 壮一(帯広畜産大学 大動物特殊疾病研究センター)
  • 倉園 久生(帯広畜産大学 畜産衛生学研究部門)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 黒田 誠(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 岩本 愛吉(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 松本 哲哉(東京医科大学 微生物学講座)
  • 中村 修(慶応義塾大学 環境情報学部)
  • 尾家 重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオテロ関連病原体等の迅速診断検査、抗体検査、病原体分離同定と検査ネットワーク体制の整備と人材育成、関係機関との情報交換、および病原体ゲノムデータベースの作製、臨床診断支援法の構築とアップデート、そして病原体の除染法について取り組む。
研究方法
詳細は各研究分担者の報告に譲る。
結果と考察
3年分の研究結果は以下の通り。飲料物からウイルスを回収できた。環境検体からの核酸抽出法として磁気ビーズ法、また携帯型炭疽菌核酸検出法を開発した。1950年代のわが国の野兎病菌感染ヒト病理組織を形態学、免疫組織学、PCR で検討し、病変の特徴を把握した。新種のエボラウイルスにも対応できる高感度なリアルタイムRT-PCR法を整備した。豚のレストンエボラウイルスの各種抗体検出系の開発と検査への応用で性能を評価した。ニパと狂犬病ウイルスの抗原検出ELISAを開発した。蛍光抗体法によるペスト菌の特異的検出法を確立した。鼻疽および類鼻疽菌の分離同定法を検討し、またLAMP法の開発を行った。カクテルPCRと蛍光ビーズ法を組み合わせた迅速検出法を開発し、病原体や毒素が検出可能となった。リケッチア属の核酸迅速検出法およびLAMP法を開発した。次世代シーケンサを用いた細菌ゲノム情報解析を行い、大陸・国・地域に特徴的な遺伝情報を包括的に取得し、かつ系統分類解析法を整備した。SNPs解析法は菌株の由来を特定する方法として極めて有効であった。ボツリヌス毒素の高感度迅速検出系としてサンドイッチイムノPCR法およびイムノクロマトキットを開発した。ボツリヌスG型毒素に対する診断用血清の作製し標準化をはかった。市販の外国製イムノクロマトキット数種について性能評価をおこなった。殺芽胞効果には次亜塩素酸ナトリウムと酢の混合液が優れていた。網羅的ウイルス遺伝子PCR法、ポックスウイルス共通遺伝子検出法、細菌バイオテロのスクリーニング用PCR法キット、毒素を簡易かつ迅速に検出するイムノクロマトキットを作製し、地研に配布し評価した。「生物テロ関連疾患の診断・検査・治療マニュアル」というバイオテロ対応ホームページについて、新たに23種類のバイオテロ関連疾患に関する内容が追加執筆された。HPのCD-ROMを配布した。
結論
当初の目標はおよそ達成できた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201028006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
バイオテロでは検査法の開発
臨床的観点からの成果
臨床診断への貢献
ガイドライン等の開発
HP等の整備
その他行政的観点からの成果
洞爺湖サミット、横浜APECでの対応に利用された。
輸入検査キットの能力評価。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
50件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
57件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Katano H, Kano M, Sata T et al.
A novel real-time PCR system for simultaneous detection of human viruses in clinical samples from patients with uncertain diagnoses.
J Med Virol , 83 , 322-330  (2011)
原著論文2
Nakamura T, Sata T, Katano H et al.
Nuclear localization of Merkel cell polyomavirus large T antigen in Merkel cell carcinoma.
Virology , 398 , 273-279  (2010)
原著論文3
Kuroda M, Katano H, Sata T et al.
Characterization of quasispecies of pandemic 2009 influenza A virus (A/H1N1/2009) by de novo sequencing using a next-generation DNA sequencer.
PLoS One , 5 (4) , 10256-  (2010)
原著論文4
Nakajima N, Hata S, Sata T et al.
The first autopsy case of pandemic influenza (A/H1N1pdm) virus infection in Japan: detection of a high copy number of the virus in type II alveolar epithelial cells by pathological and virological examination.
Jpn J Infect Dis , 63 , 67-71  (2010)
原著論文5
Hatano B, Sata T, Katano H et al.
Virus detection using Viro-Adembeads, a rapid capture system for viruses, and plaque assay in intentionally virus-contaminated beverages.
Jpn J Infect Dis , 63 , 52-54  (2010)
原著論文6
Hatano B, Sata T, Katano H et al.
LAMP Using a Disposable Pocket Warmer for Anthrax Detection, a Highly Mobile and Reliable Method for Anti-Bioterrorism.
Jpn J Infect Dis , 63 , 36-40  (2010)
原著論文7
Kuroda M, Serizawa M, Inoue S et al.
Genome-wide single nucleotide polymorphism typing method for identification of Bacillus anthracis species and strains among B. cereus group species.
J Clin Microbiol , 48 (8) , 2821-2829  (2010)
原著論文8
Serizawa M, Sekizuka T, Kuroda M et al.
Genomewide screening for novel genetic variations associated with ciprofloxacin resistance in Bacillus anthracis.
Antimicrob Agents Chemother , 54 (7) , 2787-2792  (2010)

公開日・更新日

公開日
2014-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028006Z