新しい精神科地域医療体制とその評価のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201027129A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい精神科地域医療体制とその評価のあり方に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-018
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
安西 信雄(国立精神・神経医療研究センター病院)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 伊藤 弘人(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 萱間 真美(聖路加看護大学 精神看護学研究室)
  • 平川 博之(ひらかわクリニック)
  • 宮本 真巳(東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科)
  • 吉邨 善孝(済生会横浜市東部病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
21,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成21年9月の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告書において地域精神医療提供体制の再編・強化の必要性が指摘され、医療計画において目標や医療連携体制を定めるいわゆる「4疾病5事業」として精神医療を位置づけることについて検討すべきことが指摘された。
本研究はこの目標に沿い実施するもので、各方面から調査検討を行い、実際に運用可能な地域精神医療体制の具体像を作っていくこと、それらがうまく機能するための条件と適切なモニタ方法等を明らかにすること、それらの根拠を明らかにすることを目的とする。
研究方法
精神科医療において医療圏域で外来・在宅医療を含めた医療体制を構築するために、①それぞれの精神科医療機関が患者の地域生活を支える機能をさらに充実させる(「明示される医療機能」)、②救急病院や総合病院等と地域医療機関との連携を促進する仕組み(「医療連携体制」)、③地域圏域ごとの医療体制の適切な連携・運用を評価する仕組み(「圏域設定」「目標となる評価指標等」)の3つの次元で、7つの分担研究班ごとにこれらの検討を行った。
結果と考察
精神疾患推計患者数および精神身体合併症医療需要の将来予測を行ったところ、精神疾患患者は2030年まで増加し、その後減少するが、認知症を持つ高齢者、身体合併症を持つ患者数が増加することが明らかとなり、これらの対策の必要性が示された。
地域連携を推進していくための精神科地域連携クリティカルパスは、退院促進や、うつ病、認知症等に対応したものが作成されていた。
医療提供の仕組みについて各領域を検討した結果、精神科救急、訪問看護、精神科診療所等の関係機関はそれぞれ地域に普及しつつあるが、相互の連携が乏しく、患者ニーズや地域のニーズに対応しきれていない現状が改めて明らかにされた。精神科入院治療における隔離・拘束の実態を調査したところ認知症患者や身体合併症患者への拘束数が増加していた。
結論
「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告書に沿って精神科医療改革をスピード感をもって実現していくためには「医療計画における工程管理」が必要である。本研究で、大目標、中目標、小目標に分けて医療計画を階層的に設定するための素案を提案した。本年度の研究により、方向性と検討の枠組みが示されたと考えられるが、これらの検証とさらなる具体化・精密化のために引き続き研究を実施する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027129Z