心血管疾患患者の介護予防方策を明らかにするための大規模コホート研究

文献情報

文献番号
201027124A
報告書区分
総括
研究課題名
心血管疾患患者の介護予防方策を明らかにするための大規模コホート研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
柴 信行(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 下川宏明(東北大学大学院医学系研究科)
  • 福本義弘(東北大学病院循環器内科)
  • 高橋 潤(東北大学病院循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心血管疾患患者は高齢化や治療の進歩により増加しており、心血管疾患患者に対する介護の需要は今後増すと考えられる。そこで当科で実施している第二次東北慢性心不全登録研究に登録されている症例を用いて、心血管疾患患者における介護の必要度や介護サービスの現況について調査し、心血管疾患重症度との関連について検討した。
研究方法
第二次東北慢性心不全登録研究に登録された症例のうち、平成22年9月の時点で生存し調査可能な9,199名を対象にアンケートによる介護予防必要度調査を行った。アンケートは厚生労働省が作成した基本チェックリストに基づいて作成した。介護認定を受けている症例では認定度、主治医意見書を併せて調査した。
結果と考察
 アンケートを実施した9,199名のうち、平成23年2月までに6718名(73.0%)より回答を得た。基本チェックリストから介護予防のための介入が望ましいと考えられた症例(介護予防必要群)は対象全体の36.2%を占め、その頻度は65歳以上の症例で43.9%、65歳未満の症例で19.3%であり、心血管疾患における介護予防必要度は高率であった。また、心血管疾患の重症度が増すごとに介護予防必要度は増加した。最も高頻度に認められた機能低下は運動器関係の異常であった。
 アンケート調査により介護予防が必要と判断された65歳以上の症例のうち、介護認定を受けたものは31.6%(N=517)にとどまった。
 本研究における心血管疾患症例の介護認定度は介護保険事業より報告されている全疾患の認定度と比較すると要支援1から要介護1の症例が多く、介護度が高くなるほど脳血管疾患の合併率が高かった。身体の状態は介護度が増すごとに筋力の低下や四肢麻痺が多く認められた。
 心血管疾患患者では早期に積極的な介入、特に筋力を向上させるようなリハビリテーションの重要性を示す結果であった。また、心血管疾患患者で介護認定度が重い症例では脳血管疾患の合併が高く、二次予防が非常に重要である事を示す。
結論
1) 心血管疾患患者における介護予防の必要度は高く、心血管疾患の重症度が増すごとに必要度は高まる。
2) アンケートから介護予防が必要と考えられる症例で、実際に介護認定を受けている症例は少数であり、心血管疾患における介護予防の重要性を周知する必要がある。
3) 要介護度が高い心血管疾患症例は脳梗塞の合併が多く、心血管疾患における二次予防が非常に重要である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027124Z