リアルタイムfMRIによる脳機能画像を用いた、ストレス関連疾患の治療法に関する研究

文献情報

文献番号
201027120A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルタイムfMRIによる脳機能画像を用いた、ストレス関連疾患の治療法に関する研究
課題番号
H22-精神・若手-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
守口 善也(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年,米国を中心に,リアルタイムfMRI(rtfMRI)と呼ばれる脳活動の自己コントロール法が開発されつつある。これは「ニューロフィードバック」とも呼ばれ,ある脳部位における,機能的磁気共鳴画像(fMRI)によって測定された脳活動を,被験者にわかりやすいように同時的にフィードバックし,被験者自身がその脳活動の情報をもとにそれを変化させるように繰り返しトレーニングすると,特定の脳の活動を自律的にコントロールすることが可能になるようになるというものである。この手法は,精神神経疾患に対する,薬物療法に依存しない,非侵襲的な,ニューロサイエンスを応用した革新的なアプローチとなる可能性を持つものとして脚光を浴びつつある。
本研究は,現代社会で急増しつつあるストレス関連疾患の新規治療法としてrtfMRIによる脳活動の自己コントロール法を用いた非薬物治療プログラムを開発するという国内外通じて初めての試みである。本手法が開発されれば薬物抵抗性の難治症例に対する有力な代替療法になるものと期待される。
研究方法
初年度となるH22年度においては、ストレス関連疾患のうち、まず恐怖症(注射恐怖など)に対するストレス課題の作成と、それぞれの課題が描出する脳内ネットワークの同定作業を行った。まず、情動場面刺激を用いた課題と、痛み動画刺激を作成し、従来のfMRIの手法を用いて脳活動を描出するために、健常被験者を対象に統計的にコントロール課題より活動している部位を求めた。
結果と考察
課題に対応した脳活動として、辺縁系・傍辺縁系(扁桃体、前帯状回、前/後島皮質)、大脳基底核、中脳水道周辺、脳幹など、また特に注射動画の課題においては、前述領域に加えて体性感覚領域の活動など、期待された脳内ネットワークが確認され、課題の妥当性が示された。また、リアルタイムfMRIに必要なフィードバック解析システムをプログラミングによって構築し、動作確認を行った。
結論
今年度は、課題の妥当性と、システムの稼働を確認した。今後は、より多くの大学生ボランティアによる健常群、及び恐怖症などのストレス関連疾患群についてもリクルートし、サンプル数を増やしていく。さらに、当初予定にあったMRIシステムから脳画像情報を即時に読み取るMRIシークエンスについてもより精度の高い3T-MRI用のものを開発し、高磁場3T-MRIにシステムを導入していく。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027120Z