縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの治療効果最大化のための研究

文献情報

文献番号
201027101A
報告書区分
総括
研究課題名
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの治療効果最大化のための研究
課題番号
H22-神経・筋・一般-013
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西野 一三(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 野口 悟(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 林 由起子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 青木 正志(東北大学病院神経内科)
  • 冨滿 弘之(東京医科歯科大学大学院脳神経病態学)
  • 森 まどか (吉村 まどか)(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 病院小児神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)を対象に発症したモデルマウスに対する前臨床研究により治療法を確立する。また、臨床試験にむけ、DMRVの自然歴把握の調査研究と、併せて三好型を初めとする他の遠位型ミオパチーの情報収集を行う。
研究方法
シアル酸を長期投与したモデルマウスのシアル酸合成経路酵素遺伝子の発現を調べた。正常マウス由来骨髄細胞をモデルマウスに移植し、ミオパチー表現型を多元的に解析した。非侵襲的な筋生理学的測定にて、発症した高齢マウスでの各筋力パラメータの測定を行った。DMRV自然歴調査研究は、DMRV長期経過例の臨床経過の解析と患者18人での自然歴調査を行った、遠位型ミオパチー機能評価スケール(DMFS)を筋力等の評価項目と比較した。三好型遠位型ミオパチーの自然経過を明らかにするため,dysferlin遺伝子変異確定例で遺伝子型と経過を解析した。
結果と考察
長期シアル酸投与マウスでは、腎臓でのシアル酸分解酵素遺伝子の発現は上昇し、骨格筋での合成酵素の発現は低下した。骨髄移植によりモデルマウスの運動能力は正常レベルまで改善した。各組織でのGNE活性とシアル酸レベルの増加は相関した。高齢マウスでは非侵襲的生理学測定が有効であった。自然歴把握では、筋疾患の治験で頻用される6分間歩行はDMRV患者への適用は難しく、ピンチ力や大腿四頭筋力測定が有用であった。DMFSは粗大運動機能尺度や他の筋力と有意相関がみられた。また、長期経過例では、生命予後に関する球筋、呼吸筋等の障害も認めた。三好型遠位型ミオパチーは肢帯型筋ジストロフィー2B型と経過を比較すると発症年齢が早かったが、変異による差異が考えられた。三好型モデルマウスは、Poloxamer188投与により筋重量の減少が抑えられ、運動量が増加した。 リン酸化p38の増加が抑制され, 核内移行も低下した。
結論
シアル酸の長期投与によりシアル酸生合成経路遺伝子の発現が変化する。非侵襲的生理学測定は高齢マウスでの治療効果の評価に有効。骨髄移植は高い治療効果を示す。多数のDMRV患者の症状観察や治療効果判定ではDMFSは簡便な評価法として有用である。長期経過例においては嚥下機能や呼吸機能に注意すべきである。三好型遠位型ミオパチーの自然経過を明らかにした。Poloxamer 188長期投与によるdysferlinopathyの治療は検討の余地がある。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027101Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
65,000,000円
(2)補助金確定額
65,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-