薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究

文献情報

文献番号
201027097A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 桜児(国立精神・神経医療研究センター病院 )
  • 成瀬 暢也(埼玉県立精神医療センター)
  • 森田 展彰(国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻)
  • 近藤あゆみ(新潟医療福祉大学社会福祉学部)
  • 今村 扶美(国立精神・神経医療研究センター病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神科医療機関、司法機関、さらに地域の公的保健機関、民間リハビリ施設といった性質を異にする施設をフィールドとし、ワークブックとマニュアルに基づいた認知行動療法プログラムの有効性を検証するとともに、この治療プログラムの普及を行うことである。
研究方法
研究代表者らが開発した、ワークブックとマニュアルに基づいた認知行動療法による薬物依存症治療プログラム(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program: SMARPP)、ならびに、SMARPPと同種の治療プログラムを、国立精神・神経医療研究センター病院(外来及び医療観察法病棟)、埼玉県立精神医療センター、東京都多摩総合精神保健福祉センター、播磨社会復帰促進センター、栃木・千葉・奈良の各ダルクなどの、性質の異なる援助機関で実施し、介入前後の評価尺度の変化、治療継続状況、感想に関する自由記述などの情報を収集し、評価を行った。
結果と考察
いずれの施設でも、薬物・アルコール問題に関する問題意識や治療動機、自己効力感、精神的健康などに関する評価尺度上の好ましい変化が認められ、治療継続率も高い水準に維持できることが確認された。また、プログラム参加者および実施スタッフからも、その高い意義と実施しやすさという点で高い評価を得ることもできた。
さら、SMARPPもしくはそれに類したプログラムの普及啓発に努めた結果、全国で約45箇所の精神科医療機関(25箇所)、司法機関(9箇所)、精神保健福祉センター(5箇所)、民間リハビリ施設(6箇所)でプログラムをすでに実施中もしくは準備中という状況を整えることができた。
結論
今年度の研究より、ワークブックとマニュアルに基づいた薬物依存症に対する認知行動療法プログラムは、薬物依存者の治療、再乱用防止に有効な支援ツールであると考えられた。次年度以降、さらにプログラム実施対象者数を増やし、有効性に関してさらなる検証を行うとともに、国内の多数の施設への普及を図っていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2011-04-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027097Z