精神療法の有効性の確立と普及に関する研究

文献情報

文献番号
201027093A
報告書区分
総括
研究課題名
精神療法の有効性の確立と普及に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大野 裕(慶應義塾大学 保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 泰昌(広島大学大学院 医歯薬学綜合研究科精神神経医科学)
  • 仲本 晴男(沖縄県立総合精神保健福祉センター)
  • 岩田 仲生(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 古川 壽亮(京都大学大学院 医学研究科)
  • 金 吉晴(国立精神・神経医療研究センター 成人精神保健部)
  • 元村 直靖(大阪医科大学 看護学部)
  • 水島 広子(水島広子こころの健康クリニック)
  • 清水 栄司(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 藤澤 大介(国立がん研究センター東病院 外来部精神腫瘍科)
  • 中川 敦夫(国立精神・神経医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.精神療法の有効性の実証:平成16年以来行ってきた厚生労働科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」で開発・使用したマニュアルに準拠して、うつ病、不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害)に対する認知行動療法及び摂食障害に対する対人関係療法の有効性について検証し、その効果の機序や治療可能性を予測する因子について検討する。
2.効果が実証された精神療法を実施できる専門家の育成:上記のマニュアルをもとに研修を行い、エビデンスに基づく精神療法を行える医師を全国レベルで方法する方法を確立する。
研究方法
1.精神療法の有効性の実証:うつ病に関しては、わが国最初の電子システムを利用したシングルブラインド無作為対照比較試験を継続し、平成23年2月15日までに参加した50例のうち、認知行動療法併用群に25例、通常治療対照群には25例が割付けられた。ベースライン時の平均年齢、平均HAMD, BDIに関して両群の間には差はなかった。試験実施計画に基づいて40症例目の介入終了後に中間解析を行い、2010年12月データモニタリング委員会が開催され、本試験継続可と判断された。不安障害に関しては、これまでの研究成果をもとに不安障害学会と共同で治療マニュアルを作成し無作為対照比較試験を行う準備を進めた。成人だけでなく、思春期患者に対する予備的効果研究も継続している。この他、摂食障害に対する対人関係療法、PTSDに対する認知行動療法等の効果研究も継続している。
2.効果が実証された精神療法を実施できる専門家の育成:15時間のワークショップ形式の初級研修を2回実施した結果、認知療法認識尺度CTASが有意に改善したことが示され、自由記述アンケートからは①実践型の指導へのニーズ、②スーパービジョンを含む継続的な教育の場の提供に関する希望があったことを報告した。今回、研修テキスト、研修ファシリテーターテキスト、研修会開催マニュアルを整備し、今後は、スーパービジョンを行うための指導者研修制度を整備し、スーパービジョンの実施体制を構築することが課題であることを明らかにした。不安障害の認知行動療法の研修システムに関しても検討を開始した。
結果と考察
精神療法の有効性の実証研究は順調に推移し、専門家の育成についても全国に均霑化するための基礎的なデータの収集が進んでいる。
結論
1年目が終わった時点で、研究は予定通り順調に進行している。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027093Z