自殺の原因分析に基づく効果的な自殺防止対策の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201027091A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺の原因分析に基づく効果的な自殺防止対策の確立に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加我 牧子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島  正(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 松本 俊彦(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 福永 龍繁(東京都監察医務院)
  • 高橋 祥友(防衛医科大学校)
  • 齊藤 卓弥(日本医科大学精神医学教室)
  • 粟田 主一(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 稲垣 正俊(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心理学的剖検の手法を用いた調査をより科学的なデザインになるよう発展させるとともに、研究機関・精神科医療機関等が連携して心理学的剖検に取り組む環境を整え、データベースの構築を進める。また、先行研究の課題を踏まえ、障害者、児童・生徒、自殺未遂者、困窮者、自殺手段等の観点から自殺の実態分析を行い、効果的な自殺防止対策を提示する。
研究方法
心理学的剖検によって収集された自殺既遂事例のデータを用いて、多角的観点から自殺既遂者の心理社会的特徴の検討を進めるとともに、全国の精神科医療機関における自殺の実態や予防対策、および心理学的剖検調査への協力可能性等について質問紙調査を行った。また、面接調査、文献的検討、死体検案データの分析によって、障害者、児童・生徒、自殺未遂者、困窮者、自殺手段等の観点から自殺の実態分析を行った。
結果と考察
本研究では、自殺既遂事例の分析から自殺の危険の高い人の特徴と多様な支援方法のあり方について示唆が得られた。また、精神科医療現場で把握された自殺数や予防対策、ならびに心理学的剖検調査に協力可能な施設が確認された。死体検案データの分析では、精神疾患を持つ自殺者の多くが通院先から処方された向精神薬を自殺手段として用いた可能性が高いことが推測された。児童・生徒の自殺に関しては、その実態を把握できるデータ収集体制が確立されていないことが明らかになった。また、児童思春期の自殺未遂者に対しても精神保健的アプローチが必要であることが示唆された。さらに、障害児の母親の自殺念慮に関連する要因も抽出された。本研究ではまた、生活困窮者の自殺関連行動を調査するツールの開発を行うとともに、全国の市区町村単位で利用可能な公的統計資料の調査項目を提示することができた。
結論
心理学的剖検によって情報収集がなされた自殺既遂事例の分析を行い、今後の研究の発展に向けての資料とした。また、3年間の研究期間の初年度として、ライフステージや背景状況の異なる自殺のハイリスク群に対する効果的な自殺防止対策を提示する準備を終えた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027091Z