医療観察法における医療の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201027079A
報告書区分
総括
研究課題名
医療観察法における医療の質の向上に関する研究
課題番号
H21-こころ・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中島 豊爾(地方独立行政法人 岡山県精神科医療センター 管理部・医療部)
研究分担者(所属機関)
  • 村上 優(国立病院機構琉球病院)
  • 武井 満(群馬県立精神医療センター)
  • 五十嵐 禎人(千葉大学社会精神保健教育研究センター)
  • 平林 直次(国立精神・神経医療センター病院)
  • 来住 由樹(地方独立行政法人 岡山県精神科医療センター)
  • 岩成 秀夫(神奈川県立精神医療センター芹香病院)
  • 松原 三郎(医療法人財団松原愛育会松原病院)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 宮本 真巳(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨年度から3年間の予定で、医療観察法における医療の質を向上させるための現実的方策を実践的に明らかにし、具体的提言を行うことを目的とした。
研究方法
入院医療については4つの班を、通院医療については2つの班をグループ化して、効率的に研究を進めた。このほか、対象者の転帰・予後に関する研究班、多職種チームによる医療の実際と効果に関する研究班、医療観察法の運用における人権擁護に関する研究班を立ち上げた。入院医療に関するグループは、合同班会議を開催しつつ各班ごとに指定入院医療機関での医療サービスの質向上と均霑化を図るため、とくにピアレビューの手法を導入して研究を進めた。
結果と考察
入院医療については、7月15日時点での対象者の全数調査を基礎にして、社会復帰促進の標準化と退院時期の明確化等に関して施設間の異同を検討した。標準化が困難な特殊事例についても事例の集積を行っている。施設間での格差はなお大きいが、一週間の多職種による施設相互のピアレビューの過程において、ある程度の均霑化が進んでいることが確認できた。また、自殺例や自殺企図例の調査も行った。更に、審判時の診断と入院後の診断及び重複診断の有無と内容等について全数調査を行った。通院医療については、全国の指定通院医療機関に対する実態把握のための調査、多職種チームの用いる経過シートの有効性について検討を加えた。また、特徴ある保護観察所管轄地域を選択して、通院処遇ワークショップを開催し、情報の集積を行っている。対象者の転帰・予後に関する研究では、入院終了事例、通院終了事例、死亡事例、再入院、再申立事例の集積を行っている。
結論
各入院医療機関の医療の質の均霑化はピアレビューの手法によって進展しつつある。しかし、入院長期化群についての詳細な検討及び治療反応性がないとの判定については、現在なお鋭意研究の途上にある。また、通院処遇については、社会復帰調整官の配置以外の手当がなく、地域による処遇の差が顕著であった。法の目的である社会復帰の促進に向けて、地域処遇の改善が急務である。また、それらの処遇が適切に機能しているかどうかの検証を対象者の転帰・予後を長期にわたり検証していくことが極めて重要である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027079Z