児童・思春期摂食障害に関する基盤的調査研究

文献情報

文献番号
201027074A
報告書区分
総括
研究課題名
児童・思春期摂食障害に関する基盤的調査研究
課題番号
H21-こころ・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小牧 元(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所心身医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 生野 照子(医療法人弘道会・浪速生野病院心身医療科)
  • 前田 基成(女子美術大学・芸術学部)
  • 立森 久照(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所精神保健計画研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の一般住民における中学生の年代の食行動異常・摂食障害に関する基盤研究である。
研究方法
調査1:地域に偏りのない2都市の計36中学校の全生徒を対象に摂食障害診断質問紙EDE-Q6.0日本語版アンケート調査用紙を配布し5,977名(回収率76.7%)から回答を得、内86.3%の有効回答を得た。調査2:希望生徒に統合国際診断CIDI3.0版面接調査を行った。調査3:患者群にEDE-Q調査を実施した。調査1には摂食障害発症危険因子質問22項目と日常ストレス関連項目、また身長・体重の回答を得た。EDE-QはER(食事制限)EC(食事へのこだわり)SC(体形へのこだわり)WC(体重へのこだわり)の4つのSubscale,また全体を表すGlobal Score(GS)で構成される。Subscale,GS共に4点以上が臨床上有意な摂食障害傾向である。CIDIはコンピュータによる訪問面接である。
結果と考察
EDE-Qの回答結果から、中学生における臨床上有意な摂食障害傾向の頻度が明らかになった。両市に差は認められず、男子0.2%(95%信頼区間0.03±0.37%)、女子1.9%(同1.4±2.4%)、男女比は約1:10で他の年代と概ね同様であった。女子のEDE-Qの回答結果に注目すると、ER2.2%, EC0.3%, SC10.4%, WC7.0%の頻度で認められた。「むちゃ食い」(8回以上/28日) は3.5%に、さらに種々の「不適切な代償行為 」を経験している群が女子の10.3%,「自己誘発性嘔吐」(2回以上/28日) 1.4%、「下剤乱用」(2回以上/28日) が1.1%に認められた。ロジスティック回帰(LR)分析により摂食障害傾向には「夜遅くまで起きていることが多い」(OR 1.83, p=.009)など5項目との関連が抽出された。不適切な代償行為(下剤もしくは嘔吐)には男女ともに性的被害の経験が示唆された。またCIDI3.0版面接は技術的問題なく実施可能であった。
 患者群(2施設)42名(10?46歳、平均22.3歳)の解析を行った。得点>4.0以上の割合はそれぞれER 38.1%, EC 31.0%, SC 47.6%, WC 45.2%、全体のGSは31.0 % であった。また10歳代の患者は20歳以上に比べて自分の体重・体形や食行動のコントロールについて問題がないと考える度合いが強かった。
結論
わが国の摂食障害傾向を持つ中学生の頻度が明らかとなった。女子は男子の約10倍であり,摂食障害患者に認められる非常に危険な代償行為が男女共に少なからず認められた。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027074Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
銀行利率加算

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-