筋萎縮性側索硬化症・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭型認知症死後脳脊髄資源の構築

文献情報

文献番号
201027069A
報告書区分
総括
研究課題名
筋萎縮性側索硬化症・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭型認知症死後脳脊髄資源の構築
課題番号
H20-こころ・一般-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
村山 繁雄(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山治彦(東京都医学研究機構・精神医学総合研究所)
  • 清水潤(東京大学大学院医学系研究科・神経内科)
  • 齊藤祐子(国立精神・神経医療研究センター・臨床検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALSD)・ユビキチン化封入体を伴う前頭側葉変性症(FTLDU)は、TDP43、次いでFUS/ TLSが発見されたため、神経内科・精神科・老年科共同で、総合的研究基盤の構築を試みた。
研究方法
班員施設に加え、研究協力施設(国立国際医療研究センター、国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター、東京病院、下志津病院、美原記念病院、亀田総合病院、横浜労災病院、三重大学医学部神経内科)剖検確定症例の神経病理学的再検討、前方視的蓄積、免疫組織学的・蛋白化学的、分子遺伝学的検討を行った。
 (倫理面への配慮)主任研究施設、班員施設、協力研究施設毎に、倫理委員会承認を得た。
結果と考察
病理/ 凍結組織リソースとして、ALS-TDP 130/ 65例(うち遺伝子異常1例)、ALS- FUS 3/ 1例(うちALS6 2例)、ALS- SOD1 3/ 1例(うち孤発1例)、FTLD- TDP43 27/ 7例、二次性TDP43蓄積症12例、混合型TDP43蓄積症2例(ALS/ PDC Kii)凍結脊髄資源(C4, T3, L4)TDP43陰性108例を確保できた。TDP43群に関して、Cairnsのtypingを行い、脳・脊髄 propagationを支持する所見を得た。FUS群は、conformational changeが病型決定に関与することを示唆する結果を得た。
結論
今後さらに全国展開し、欧米に対抗する基盤作りを目指す足組ができた。またALS, FTLD研究に分断されている国際競争に対抗できる、独自の成果を上げることができた。また該当疾患の患者と扱う医師に希望を提供し、ALS生前同意登録制を開始でき、剖検数を確保できた。
 以上、神経科学関連施設が、医師・患者・研究者共同で、疾患に取り組むシステム構築が出来た。

公開日・更新日

公開日
2011-06-01
更新日
-

文献情報

文献番号
201027069B
報告書区分
総合
研究課題名
筋萎縮性側索硬化症・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭型認知症死後脳脊髄資源の構築
課題番号
H20-こころ・一般-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
村山 繁雄(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 治彦(東京都総合医学研究所 認知症プロジェクト)
  • 清水 潤(東京大学大学院医学系研究科神経内科)
  • 齊藤 祐子(国立精神・神経医療研究センター臨床検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALSD)・ユビキチン化封入体を伴う前頭側葉変性症(FTLDU)は、TDP43、次いでFUS/ TLSが発見されたため、神経内科・精神科・老年科関連施設が共同で、研究基盤としてのコンソーシアムの構築を試みた。
研究方法
班員施設に加え、研究協力施設(国立国際医療研究センター、国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター、東京病院、下志津病院、美原記念病院、亀田総合病院、横浜労災病院、三重大学医学部神経内科)剖検確定症例の神経病理学的再検討、前方視的蓄積、免疫組織学的・蛋白化学的、分子遺伝学的検討を行った。
 (倫理面への配慮)主任研究施設、班員施設、協力研究施設毎に、倫理委員会承認を得た。
結果と考察
 病理/ 凍結組織リソースとして、ALS-TDP 130/ 65例(うち遺伝子異常1例)、ALS- FUS 3/ 1例(うちALS6 2例)、ALS- SOD1 3/ 1例(うち孤発1例)、FTLD- TDP43 27/ 7例、二次性TDP43蓄積症12例、混合型TDP43蓄積症2例(ALS/ PDC Kii)凍結脊髄資源(C4, T3, L4)TDP43陰性108例を確保できた。TDP43群に関して、Cairnsのtypingを行い、脳・脊髄 propagationを支持する所見を得た。また、ALSDとFTLD- TDP43は病理型、TDP43のtruncationにおいて異なった疾患であることを明らかにした。FUS群は、conformational changeが病型決定に関与することを示唆する結果を得た。
 達成度については、今後さらに全国展開し、欧米に対抗する基盤作りを目指す足場が得られたと考えられる。研究成果の学術的意義については、ALS, FTLD研究に分断されている国際競争に対抗できる、独自の成果を上げることができたと思われる。また、研究成果の行政的意義については、該当疾患の患者と扱う医師に希望を提供したことが大きい。それをベースに、ALS生前同意登録制を開始でき、一定の剖検数を確保できた。
 今後精神科と共同し、FTLDUについても生前同意登録システムの構築をめざすことを予定している。
結論
神経科学関連施設が、医師・患者・研究者共同で、疾患に取り組むシステム構築が出来た。

公開日・更新日

公開日
2011-06-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201027069C

成果

専門的・学術的観点からの成果
TDP43蓄積を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALS- TDP43)の脳・脊髄では、TDP43のtruncationは、Cairnsの分類ではII型であることを明らかにし、seed, aggregation, spread仮説に従うことを明らかにした。また、TDP43蓄積を伴う前頭側頭型認知症(FTLD- TDP43)と、ALS- TDP43は、免疫ブロットのパターン、免疫組織化学病理の両方の面で、明らかに異なることが明らかとなった。
臨床的観点からの成果
ALSに関して、遺伝子異常を伴う群が孤発例に6%に出現すること、免疫組織化学的に、遺伝子異常を伴う群と伴わない群の鑑別が不可能であることを明らかにした。今後の根治療法開発の点からは、JACALS等と協力し、遺伝子背景を明らかにし、その神経病理所見を元に、病因研究にリソースを提供することが、重要と結論された。
ガイドライン等の開発
筋萎縮性側索硬化症の脊髄の凍結採取法の討論を三年間に渡って議論の末ガイドラインを作成し、2010神経学会、2010神経病理学会、2010米国神経病理学会で報告した。今後、筋萎縮性側索硬化症研究への基盤を形成できた。
その他行政的観点からの成果
これまで難攻不落と言われてきた筋萎縮性側索硬化症に光明がみえはじまとことに基づく当研究班の啓蒙活動により、神経内科医師、患者ともに、将来の根治療法開発への希望が生まれ、剖検率が上昇、生前ブレインバンク登録同意患者も増えた。現在5国内研究者に脳・脊髄を研究リソースとして供与している結果、根治療法のための基盤が築かれつつある。
その他のインパクト
科学技術週間に毎年市民への啓蒙活動を行った。また、脳・脊髄疾患リソースに関する啓蒙活動を、主に神経内科領域の医師を中心に全コムレベルで展開し、理解を求めた。このブレインバンク活動は、NHKサイエンスゼロで2011年7月放映予定である。

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
55件
その他論文(和文)
49件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
25件
学会発表(国際学会等)
150件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
科学技術週間1回

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takahashi Y, Seki N, Ishiura H et al
Development of a high-throughput microarray-based resequencing system for neurological disorders and its application to molecular genetics of amyotrophic lateral sclerosis.
Arch Neurol , 65 (7) , 1326-1332  (2008)
原著論文2
Kobayashi Z, Tsuchiya K, Arai T et al
Occurrence of basophilic inclusions and FUS-immunoreactive neuronal and glial inclusions in a case of familial amyotrophic lateral sclerosis
J Neurol Sci , 298 (1) , 6-11  (2010)
原著論文3
Kobayashi Z, Tsuchiya K, Kubodera T et al
FALS with Gly72Ser mutation in SOD1 gene: Report of a family including the first autopsy case
J Neurol Sci , 300 (1) , 9-13  (2010)
原著論文4
Tamaoka A, Arai M, Itokawa M, et al
TDP-43 M337V mutation in familial amyotrophic lateral sclerosis in Japan
Intern Med , 49 (2) , 331-334  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027069Z