医療観察法鑑定入院制度の適正化に関する研究

文献情報

文献番号
201027059A
報告書区分
総括
研究課題名
医療観察法鑑定入院制度の適正化に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 禎人(千葉大学 社会精神保健教育研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 幸之(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 松原 三郎(医療法人財団松原愛育会松原病院)
  • 須藤 徹(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療観察法(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律)による医療の要否を判定するために行われる医療観察法鑑定入院制度の運用の現状と問題点を把握し、これらの具体的な改善策を検討し、医療観察法鑑定入院制度のあるべき姿を提示し、2010年以降に予定される医療観察法改正に資する具体的政策提言を行うことを目的として研究を行った。
研究方法
①他害行為を行った者の責任能力鑑定に関する研究、②鑑定入院医療機関における医療・観察に関する研究、③鑑定医の資質の向上に関する研究、④鑑定入院医療機関の高規格化に関する研究、⑤鑑定業務の教育研修に関する研究、という5つの分担研究班をおいて、研究を行った。
結果と考察
「他害行為を行った者の責任能力鑑定に関する研究」では、利用者からのフィードバックをもとに手引の改訂を行い、「心神喪失者等医療観察法鑑定用書式」(別紙形式)(案)を提案した。「鑑定入院医療機関における医療・観察に関する研究」では、鑑定入院における医療的観察の実際を明らかにするとともに、より詳細かつ高精度な情報収集を可能とするための「鑑定入院対象者経過報告書」(案)を提案した。「鑑定医の資質の向上に関する研究」では、刑事精神鑑定に関する研修会を実施し、その必要性と有用性とを明らかにした。「鑑定入院医療機関の高規格化に関する研究」では、指定入院医療機関から直接処遇終了となった事例の分析を通して、医療観察法鑑定における疾病性評価の重要性を指摘し、「鑑定入院医療機関運営ガイドライン」(案)を提案した。「鑑定業務の教育研修に関する研究」では、医療観察法鑑定入院における多職種協働チームの関与の現状を明らかにし、これまでの研究成果もふまえて、多職種協働チームによる医療観察法鑑定書の作成と普及のために、医師(鑑定医、主治医)、看護師、作業療法士、臨床心理技術者のそれぞれの役割や課題を明確化した「医療観察法鑑定入院における対象者の診療に関する指針」(案)を提案した。
結論
以上、医療観察法鑑定入院制度の現状と課題を明らかにし、それに対する具体的な改善策について検討し、医療観察法鑑定入院制度の適正化のための具体的な政策提言を行った。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201027059B
報告書区分
総合
研究課題名
医療観察法鑑定入院制度の適正化に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 禎人(千葉大学 社会精神保健教育研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 幸之(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 松原 三郎(医療法人財団松原愛育会松原病院)
  • 須藤 徹(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
  • 平野 誠(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療観察法(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律)による医療の要否を判定するために行われる医療観察法鑑定入院制度の運用の現状と問題点を把握し、これらの具体的な改善策を検討し、医療観察法鑑定入院制度のあるべき姿を提示し、2010年以降に予定される医療観察法改正に資する具体的政策提言を行うことを目的として研究を行った。
研究方法
医療観察法鑑定入院に関連する問題点・課題に応じて、①他害行為を行った者の責任能力鑑定に関する研究、②鑑定入院医療機関における医療・観察に関する研究、③鑑定医の資質の向上に関する研究、④鑑定入院医療機関の高規格化に関する研究、⑤鑑定業務の教育研修に関する研究、という5つの分担研究班をおいて、研究を行った。
結果と考察
①全国の鑑定入院医療機関に対してアンケート調査を行い、鑑定入院における医療の実態を明らかにした。②医療観察法鑑定に疑義のある事例の多くは、疾病性の評価に疑義のある事例が多く、医療観察法鑑定においても刑事責任能力の検討が必要であることを明らかにした。③医療観察法鑑定を行う精神保健判定医の資質の向上のためには、鑑定医と主治医とを分けて対応すること、鑑定入院医療機関においても専属の多職種協働チームを構成してアセスメントを行うこと、ピアレビューやコンサルテーション体制を整備することが有用であることを明らかにした。④的確な医療観察法鑑定を行うためには、人員配置や施設基準の高い鑑定入院医療機関での鑑定が必要であることを明らかにした。⑤鑑定入院医療機関に所属する医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理技術者に対して、聞き取り調査とアンケート調査を行い、鑑定入院における多職種チームのかかわりの実態を明らかにした。
結論
以上の結果をふまえ、医療観察法鑑定入院制度の適正化のための政策提言として、「心神喪失者等医療観察法鑑定用書式」(別紙形式)(案)、「鑑定入院者経過報告書」(案)、「鑑定入院医療機関運営ガイドライン」(案)「医療観察法鑑定入院における対象者の診療に関する指針」(案)を提案した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201027059C

成果

専門的・学術的観点からの成果
①全国の鑑定入院医療機関を対象としてアンケート調査を行い、鑑定入院における医療や処遇の実態を明らかにした。②鑑定入院医療機関に所属する医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理技術者に対して、聞き取り調査とアンケート調査を行い、鑑定入院における多職種チームのかかわりの実態を明らかにした。これらの成果は、医療観察法鑑定入院に関する今後の研究の基礎をなすものと思われる。
臨床的観点からの成果
研究成果をもとに作成した「医療観察法鑑定入院における対象者の診療に関する指針」(案)は、鑑定入院の各段階に応じて多職種協働チームに所属する各職種の果たすべき役割を明確化し、これまで明確な指針のなかった鑑定入院中の対象者の医療や処遇のあり方について具体的な指針を提案している。実際の医療観察法鑑定入院の場で活用されることにより、医療観察法鑑定の質の向上と対象者の人権擁護に配慮した鑑定入院を実践することが可能となるものと思われる。
ガイドライン等の開発
研究成果をもとに「心神喪失者等医療観察法鑑定用書式」(別紙形式)(案)、「鑑定入院者経過報告書」(案)、「鑑定入院医療機関運営ガイドライン」(案)、「医療観察法鑑定入院における対象者の診療に関する指針」(案)を研究班として提案した。
その他行政的観点からの成果
研究班として提案した「医療観察法鑑定入院における対象者の診療に関する指針」は、司法精神医療等人材養成研修企画委員会による「医療観察法鑑定入院における治療・処遇等指針」改訂の基礎資料として活用された。また、精神保健判定医等養成研修会のテキストに収載され、精神保健判定医等の養成に活用されている。

その他のインパクト
平成22年度障害者対策総合(精神分野)研究成果発表会(平成23年1月27日開催)における本研究の成果発表が「Medical Tribune」誌(2011年3月24日vol44, No12 p48」で紹介された。また、「医療観察法鑑定入院における対象者の診療に関する指針」を、http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/shakai/jp/housystem/iryoukansatsukantei.htmlにて公開している。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
12件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Shiina A, Fujisaki M, Nagata T et al
Expert consensus on hospitalization for assessment: a survey in Japan for a new forensic mental health system.
Ann Gen Psychiatry , 8 (10) , 11-  (2011)
10.1186/1744-859X-10-11

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027059Z