文献情報
文献番号
201027048A
報告書区分
総括
研究課題名
脳画像にもとづく精神疾患の「臨床病期」概念の確立と適切な治療・予防法の選択への応用についての研究
課題番号
H20-こころ・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福田 正人(国立大学法人 群馬大学 大学院医学系研究科 神経精神医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 住吉 太幹(富山大学大学院医学系研究科神経精神医学)
- 笠井 清登(東京大学医学部附属病院精神医学)
- 檀 一平太(自治医科大学医学部先端医療技術開発センター脳科学)
- 根本 清貴(筑波大学大学院人間総合科学研究科精神病態医学)
- 山末 英典(東京大学医学部附属病院精神医学)
- 橋本 謙二(千葉大学社会精神保健教育研究センター神経科学)
- 鈴木 道雄(富山大学大学院医学系研究科神経精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
脳画像にもとづいた臨床病期概念の普及を図るため、脳画像検査ための基盤を整備し、それにもとづいた検討を行なった。
研究方法
脳構造画像としてのMRIについては、多施設共同研究に向けた共通画像解析システムとしてUbuntu LinuxをベースにしたUSBメモリから起動できる統合画像解析システムを開発した。起動速度、処理速度において通常のシステムと遜色のない実用に足りるシステムを構築することができた。
脳機能画像としてのNIRSについては、データ解析に必要となる光路長についてTRSによる全頭計測を行ない、NIRSデータについて領域やチャネル毎の統計解析は適切であるが、領域間の比較は左右半球間の比較を除いては慎重である必要があることを明らかにした。
脳機能画像としてのNIRSについては、データ解析に必要となる光路長についてTRSによる全頭計測を行ない、NIRSデータについて領域やチャネル毎の統計解析は適切であるが、領域間の比較は左右半球間の比較を除いては慎重である必要があることを明らかにした。
結果と考察
MRI研究からは、統合失調症の発症早期(臨床病期の2?3a期)に視床下部-下垂体-副腎皮質系の機能が亢進しており、治療臨界期におけるストレス脆弱性の成立機序として重要であること、下前頭回の形態面・機能面について統合失調症の発症前後から慢性期にかけて病態が進行し、言語関連の認知機能障害や妄想等の症状の形成・進行の病態生理を反映している可能性があることが示唆された。初回エピソード統合失調症患者、双極性障害患者、健常者のMRI脳画像を用いると、80%を超える精度の判別関数を得ることができた。
NIRS研究からは、両側の腹外側前頭前野(VLPFC)・前頭極・側頭葉前部においてはアットリスク群ARMS(1b期)の時点で有意な機能減衰があり、両側の背外側前頭前野(DLPFC)では臨床病期に沿った賦活の減少を認めることを明らかにした。それらをもとに、精神疾患の臨床病期の判定に有用なNIRS検査を実用化し、その標準検査法を確立し、データ解析法を含めて冊子『NIRS波形の臨床判読-先進医療「うつ症状の光トポグラフィー検査」ハンドブック』としてまとめた。
NIRS研究からは、両側の腹外側前頭前野(VLPFC)・前頭極・側頭葉前部においてはアットリスク群ARMS(1b期)の時点で有意な機能減衰があり、両側の背外側前頭前野(DLPFC)では臨床病期に沿った賦活の減少を認めることを明らかにした。それらをもとに、精神疾患の臨床病期の判定に有用なNIRS検査を実用化し、その標準検査法を確立し、データ解析法を含めて冊子『NIRS波形の臨床判読-先進医療「うつ症状の光トポグラフィー検査」ハンドブック』としてまとめた。
結論
脳画像にもとづいた臨床病期概念の普及を図ることができる汎用システムを、MRIについておよびNIRSについて確立することができた。本研究の成果にもとづいて、臨床応用や多施設研究が進展すると期待できる。
公開日・更新日
公開日
2015-05-20
更新日
-