総合的視覚リハビリテーションシステムプログラムの開発

文献情報

文献番号
201027047A
報告書区分
総括
研究課題名
総合的視覚リハビリテーションシステムプログラムの開発
課題番号
H22-感覚・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 第二診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 西田 朋美(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 )
  • 飛松 好子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 )
  • 小林 章(国立障害者リハビリテーションセンター 学院)
  • 吉野 由美子(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 小田 浩一(東京女子大学 現代文化学部 コミュニケーション学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,670,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今回行った視覚に障害を持つ者の実態・支援ニーズの調査の目的は、これまでなかなか省みられてこなかったロービジョンの者の実態とニーズを明らかにすることである。また、その結果及びそこから考案した視覚障害の重症度・支援ニーズ判定基準を示し、視覚障害の重症度と要する支援内容との対応関係を明確にする。
研究方法
既存の調査票を吟味して得られた視覚関連項目に加え、記憶障害や体力低下、抑うつ状態といった視覚要因以外の項目についても検討し、調査票全体を調整する。調査対象の視機能障害を良い方の眼の矯正視力が0.3未満、左右眼の視野が求心性狭窄で両眼の視野が半径40度以下あるいは同名半盲(1/4盲を含む)と限定し、面接方式で調査票に基づいた聴取を主に国立障害者リハビリテーションセンター病院および神奈川リハビリテーション病院で行う。
結果と考察
調査対象は163名(男性81名、女性82名)で、年齢は13歳から84歳(平均56.2±15.9歳)であった。原因眼疾患は、遺伝性網膜ジストロフィー(42%)、緑内障(13%)、糖尿病網膜症(12%)等であった。よい方の眼の矯正視力および両眼の視野は、さまざまな程度から抽出した。自由口述式のニーズの中でもっとも多かったのは「単独歩行」で64%の対象者から挙げられた。続いて「文字の読み書き」が48%、「移動支援」が36%、「パソコンなどの情報」が29%、「見えるようになりたい」が23%であった。うつ傾向は16%にみられた。調査全項目の因子分析を行い、視機能(遠見視、色覚、近見視、自覚的見え方、視野)、室内での移動、欲求不満、外出、食事動作、不健康感、排泄、更衣、明・暗順応、キーパーソン、羞明、触覚、整容、社会性、夜盲に関すると思われる成分を抽出した。フェルトニーズの移動支援に関するニーズの有無を予想する属性の分析により、何らかの支援ニーズが発生するのは、良い方の眼の矯正視力が0.7以下、視野がGoldmann視野計のV/4視標により半径20度以下または同名半盲、色覚異常、複視がある場合であると推定した。
結論
以上のように本調査研究はロービジョンの者の実態とニーズを明らかにし、視覚障害の重症度・支援ニーズ判定基準を示し、視覚障害の重症度と要する支援内容との対応関係を明確にした。しかし、これはリハビリテーション病院に通院するものの実態に過ぎない。本データを元にして第2年度には、より一般的な実態を把握する予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027047Z