難聴者自立支援のための埋め込み型骨導補聴器の開発

文献情報

文献番号
201027035A
報告書区分
総括
研究課題名
難聴者自立支援のための埋め込み型骨導補聴器の開発
課題番号
H21-感覚・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
羽藤 直人(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 卓二(電気通信大学 電気通信学部)
  • 神崎 晶(慶應義塾大学 医学部)
  • 立入 哉(愛媛大学 教育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国で補聴器を必要とする難聴者の数は、推定で1250万人とも言われ、今後高齢化社会を迎え益々増加していくと予想される。特に、通常の気導型補聴器の装用が困難な、先天性外耳道閉鎖や耳漏を伴う中耳炎患者にとって、本研究にて開発する埋め込み型骨導補聴器は社会参加を可能とする画期的ツールである。高度感音難聴にも対応可能なデバイスが開発されれば、埋め込み型補聴治療が一般化され、多くの難聴者のQOL改善手段となることが期待される。
研究方法
磁界の変化によりその寸法が変化する素子である超磁歪素子を用いて、体内埋め込み型骨導補聴器用の振動子、および外部より音響信号を伝送するためのコイルを設計・試作し、その動作特性の評価を行った。今年度は、体内ユニット体と外ユニットの試作機を作製した。体外ユニットはパナソニックヘルスケア社と共同で開発を行った。また、ご遺体を用いた振動および音響の解析による特性検証を昨年度に引き続き行なった。
結果と考察
開発する埋め込み型骨導補聴器のシステムは、体外と体内ユニットに分かれる半埋め込み型である。体外ユニットで集音プロセッシング後、コイルで音情報を体内ユニットに送信し、磁場で超磁歪振動子を駆動させる。このデザイン通りの試作機が完成し、シミュレーションで期待された性能に近い出力特性が認められた。一方、装着者の個人差、および振動子の取り付け方法により、振動子の周波数特性が変化するため、実際に使用する際には、個々の患者に対してフィッティングを行う必要性が実験結果から示唆された。
結論
これまでの実験結果では、振動子は高周波域で高い出力を持ち、良好な直線性を有していることが示された。高音域での十分な利得を持つ超磁歪素子の特性からは、従来の気導補聴器では十分な聴覚補聴が困難な、老人性の高度感音難聴患者にも適応拡大できると考えている。一方、装着者の個人差、および振動子の側頭骨への固定方法により、振動子の周波数特性が変化する特性も明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2011-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027035Z