重度肢体不自由者用ロボットアームのコスト・ベネフィット評価

文献情報

文献番号
201027027A
報告書区分
総括
研究課題名
重度肢体不自由者用ロボットアームのコスト・ベネフィット評価
課題番号
H22-身体・知的・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 木之瀬 隆(日本医療科学大学 保健医療学部)
  • 小林 庸子(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 中山 剛(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 障害工学研究部)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 障害福祉研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年技術革新が進み、市販製品も存在する肢体不自由者用ロボットアームは、頚髄損傷や神経・筋疾患など重度障害者の生活を格段に向上させることが期待されており、ニーズの高い機器である。しかし社会コストを踏まえた検討無しには普及は困難である。本研究では、臨床評価を通して重度肢体不自由者用ロボットアームの在宅利用におけるコスト・ベネフィットを明らかにし、ロボットアーム普及への根拠を提案することを目的とする。
研究方法
研究目的達成の為、1.評価プロトコルの構築、2.頚髄損傷者による有効性の検証、3.神経・筋疾患患者による有効性の検証、4.ロボットアーム導入による社会コストの導出、5.普及に向けた提案、を達成目標として設定した。臨床評価では3機種のロボットアームを使用して実験環境内で2時間程度で行う短期評価と、自宅環境でロボットアームを1カ月から3カ月程度使用する長期評価を計画している。平成22年度は達成目標1および4の一部の達成を目標とし、国内での研究会の実施、ロボットアームが公的給付制度の対象となっているオランダでの調査、国内で比較的入手が容易なiARMを用いた頚髄損傷者、神経・筋疾患患者の被験者3名に対する実験環境での予備実験を実施した。
結果と考察
予備実験をもとに、実験動作の抽出、評価項目の設定を行い、当事者による3件の確認実験を経て目標1の短期評価プロトコルの構築を行った。併せて4において介助のモデルケースでのニーズ把握とコストの試算を行った。次年度以降の短期評価では3機種のロボットアームで実施する計画だが、本年度構築した短期評価プロトコルはiARMのみでの実施となった。このため、次年度に他機種での確認が必要である。コスト・ベネフィット評価としては、予備的な段階ではあるが、ヘルパー利用時間の節約による便益がコストを上回る可能性があることが示された。
結論
本年度は、短期評価プロトコルの構築および介助のモデルケースでのニーズ把握とコストの試算を行った。次年度以降、短期評価を10例程度実施し、ロボットアームの適応と利用効果を確認し、併せて長期評価プロトコルを構築する。また、重度肢体不自由者の日常生活の実態調査や資料収集により、ロボットアーム導入に伴う費用・便益の変化をもたらす要因の分析を進め、導入によるベネフィットと社会コストの評価を行い、最終年度においてロボットアーム普及に向けた提案をまとめる。

公開日・更新日

公開日
2011-07-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027027Z