障害者歯科におけるEBM確立を目的としたクリニカルパス開発および利用に関する研究

文献情報

文献番号
201027026A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者歯科におけるEBM確立を目的としたクリニカルパス開発および利用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-身体・知的・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宮脇 卓也(岡山大学大学院 歯科麻酔・特別支援歯学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 江草 正彦(岡山大学病院 スペシャルニーズ歯科センター)
  • 小笠原 正(松本歯科大学 障害者歯科学講座)
  • 上山 吉哉(山口大学大学院 歯科口腔外科学分野)
  • 石田 瞭(東京歯科大学千葉病院 摂食・嚥下リハビリテーション・地域歯科診療支援科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,010,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今後,障害者歯科を質的に向上させるためには,エビデンスに基づいたガイドラインが必要であると考えた。そして,クリニカルパスを作成して,ある程度規格化された治療を行い,その結果を解析することを計画した。本研究での最終的な目標は,多施設共同前向きコホート研究によりデータを回収し,解析することであるが,今年度は3年計画の1年目として後ろ向きコホート研究により概略を把握し,来年度の前向きコホート研究の資料とすることを目的とした。
研究方法
摂食・嚥下リハビリテーション,全身麻酔下歯科治療,および行動調整の選択という3つの領域に分けて調査および解析を行った。摂食・嚥下リハビリテーションでは神経変性疾患,口腔外科系疾患,小児疾患,脳血管疾患に分け,全身麻酔下歯科治療では外来および入院下での全身麻酔についての合併症や回復に関する要因を解析し,さらに全身麻酔下歯科治療後のメンテナンスを継続できない場合の要因を解析した。行動調整の選択については,クリニカルパスを試作し,診療記録を試作したパスに当てはめることによって,アウトカムの完遂と逸脱をしらべ,バリアンスを生む要因を検討した。
結果と考察
摂食・嚥下リハビリテーションでは,早い時期での評価が,適切なリハビリテーションの実施のために有効であることが示された。全身麻酔下歯科治療については,外来では前投薬の使用や,長時間の治療などが回復の遅れに関連し,前投薬の使用は麻酔後の興奮に関連することが示された。さらに,初診時の口腔内診査に適応できることが,むしろ全身麻酔下歯科治療後のメンテナンスを継続できない要因であることが示された。行動調整の選択では,アウトカムからの逸脱が比較的多いという結果となった。
摂食・嚥下リハビリテーションでは,様々な疾患や口腔外科術後の患者に対し,早期から評価を行うことと,可及的に多くの患者をスクリーニングできるようなシステムの構築が望まれる。全身麻酔下歯科治療に関しては,外来と入院の選択基準を明確にした上で,それぞれのパスを作成する必要があると思われた。また初診時に口腔内診査ができる患者では,診療を継続するための工夫が必要である。行動調整の選択に関するパスの作成とアウトカムの設定においては,現実的で余裕のある治療計画が望まれる。
結論
障害者歯科のそれぞれの領域において,前向きコホート研究を行うための情報が得られた。

公開日・更新日

公開日
2011-07-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027026Z