高齢の障害者への支援の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201027023A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢の障害者への支援の在り方に関する研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 上田 敏(財団法人 日本障害者リハビリテーション協会)
  • 楠 正(日本薬剤疫学会)
  • 磯部 健一(名古屋大学大学院 医学研究科)
  • 有馬 正高(東京都立東部療育センター)
  • 丹羽 真一(福島県立医科大学 医学部 神経精神医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢障害者支援のシステムとプログラムを、WHO・ICF(国際生活機能分類)に立った実態調査に基づき明確にする。その際、要介護認定者を含む高齢者一般及び非高齢障害者と比較した高齢障害者の特徴を解明し、障害者及び高齢者施策全体の中での位置づけを行う。初年度である今年度の重点は、障害児・者の生活機能実態調査に立った、障害者支援の在り方につき今後検討すべき新たな観点の明確化とした。
研究方法
1)ICFに基づく障害児・者生活機能実態調査:障害当事者参加により4919名(1-97歳)につき質問紙法及び直接面接法・電話面接法で詳細な状態把握を行い結果を分析した。現制度上の障害者に限定せず、機能障害があり生活機能上の問題をもつ多様な人々を含めた。支援内容は物的・人的・制度的「環境因子」の全てについてその現状・課題をICFモデルで分析した。
2)上記結果にもとづき啓発用リーフレットを作製・配布し意見を聴取した。
結果と考察
1)対象者の多様性を重視して被検者を集めることができたため、各種機能障害による差を含め、新たな知見として、より外出を多くするための改善点、ADL(日常生活行為)非自立者の「参加」の状況、障害者自身が行う介護・育児、等々についての新たな知見、及び障害者と家族の高齢化による問題点・不安を把握できた。
2)複数の機能障害を有する人が全体の7割以上いること、機能障害としての疲労の重要性等から、旧来の機能障害を基本とした見方の限界と参加向上を明確なターゲットとした支援の再構築の必要性が明らかになった。
3)把握できた新しい課題や問題点から、近年の障害者・高齢者を巡る状況の変化や障害者支援の在り方についての国際動向をもふまえて、支援のあり方のポイントを明らかにした。具体的には、関与者の範囲拡大(直接的な1対1のサービス提供者に加え、間接的関与者(1対多)も、また専門職に加え広く社会人一般も)、具体的連携のあり方(時間的連続性と同一時期の連携、各関係者間の「線引き」でなく「相乗効果」へ、「総合的な後始末」から「総合的で先見的な生活機能低下予防・向上」へ)、本人の位置づけの明確化などである。また「活動」レベルの観点から、「生活上の適切な配慮が必要な状態」のリスト(案)を作製した。
結論
 ICFの生活機能モデルに基づく実態把握によって、障害者支援の新たなシステム・プログラム作りのための新たな観点が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027023Z