体幹保持機能障害のある身体障害者に対して生体内3次元解析システムを用いた脊椎骨構築および動態情報フィードバック型革新的体幹保持デバイスの開発

文献情報

文献番号
201027022A
報告書区分
総括
研究課題名
体幹保持機能障害のある身体障害者に対して生体内3次元解析システムを用いた脊椎骨構築および動態情報フィードバック型革新的体幹保持デバイスの開発
課題番号
H22-身体・知的・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
菅本 一臣(大阪大学大学院 医学系研究科運動器バイオマテリアル)
研究分担者(所属機関)
  • 梶浦 一郎(社会福祉法人愛徳福祉会 南大阪療育園)
  • 山崎 隆治(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
側彎症は一般に単一平面内での2次元変形ではなく,回旋を伴い複雑な変形をきたす3次元変形である.これまで側弯症の回旋変形に対し、レントゲン撮影を用いた2次元評価法が提唱されてきたが[Nash CL 1969],レントゲン写真などを用いた2次元評価では,回旋や前後弯が強い場合に正確な評価が困難となり,このような2次元評価には限界が生じる.このため側彎症の回旋変形の正確な評価には3次元評価が必要となるが,これまで手法の限界からほとんどなされていない。脳性麻痺に伴う側彎症においても,脊柱変形のパターンを3次元的に検討した報告はこれまでほぼない.
研究方法
骨関節の構築および動態を3次元的に解析できる様々なシステムを開発してきたという実績があるが、それを用いることにより骨の重心、長軸、短軸、骨構築状態の評価、移動距離など考えられうる限りの様々なパラメーターを算出することで骨関節形態を評価することができる。今回脊椎側弯を有する身体障害者に対してCTにて頚椎より骨盤にかけて撮影を行い、脊椎骨構築異常の正確で詳細な3次元変形評価を行うことであった。
結果と考察
脳性麻痺側彎症8例,特発性側彎症8例を対象とした.
・側弯カーブは終椎付近で椎間の回旋変形が最も強く,頂椎付近で椎間の楔状変形が最も強い傾向をであった.
・従来の報告同様Cobb角と椎間の回旋、楔状変形はいずれも強い相関を示した(回旋:r=0.83, 楔状変形:r=0.90).側弯症において特発性側弯症よりも大きくなっていた(回旋:p=0.09, 楔状変形:p<0.05).
・側弯形成への椎間および椎体の寄与率について考察し,両群とも椎体の寄与が大きかったが(CP: p<0.05, AIS: p=0.09),2群間で有意差は認められなかった.
・最小椎弓根面積の左右比を求め、左右の非対称性は本症側弯症に比べ特発性側弯症で有意に強く認められた(p<0.01).
これまで考えられてきた以上に側弯における脊椎変形は平面的なものではなく、3次元的な変形が大きいことが明らかとなった。それをもとに最適のデバイスを作成する意義が改めて認識できた。
結論
本研究では,側彎における脊柱変形の3次元評価を詳細に行い,従来の2次元評価指標との関係性を調べ3次元形態学的について明らかにした.側彎においては,特に回旋変形の生体内評価は本研究のような手法を用いなければ詳細な脊柱回旋変形の評価は,不可能であると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027022Z