発話障害者のためのハンズフリー支援機器の開発とその臨床評価

文献情報

文献番号
201027021A
報告書区分
総括
研究課題名
発話障害者のためのハンズフリー支援機器の開発とその臨床評価
課題番号
H22-身体・知的・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
伊福部 達(東京大学 )
研究分担者(所属機関)
  • 田中 敏明(東京大学 先端科学技術研究センター)
  • 上田 一貴(東京大学 先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本課題はの目的は、①喉頭摘出者のためのハンズフリー電気喉頭の改良化を進めるとともに、②脳・神経系疾患による構音障害者のために残された運動機能を使って実時間で生成できる「ウェアラブル音声生成器」の開発研究を行うことである。
研究方法
「ハンズフリー電気喉頭」の実用化と評価の研究においては、音量が大きく音漏れがしないマイクロホン、アンプ゚、及びスピーカからなる「小型拡声器」の開発に絞り、その使い勝手の評価を行った。一方、「ウェアラブル音声生成器」については、コンピュータやスマートフォンのタッチパッドを指先やペンタップすることにより全ての子音を生成できるよう改良した。開発された発話支援機器は、他の治療法やリハビリ法を補完するという立場で臨床的な観点から有用性と問題点を評価し、製品化を目指して研究を進めた。
結果と考察
その結果、ハンズフリー電気喉頭のための拡声器については、従来に比べて音質・音量ともに大きく改善されたが、マイクロホンやアンプ本体には自然音声の拡声器とは異なった機能と使い勝手が要求されることが分かった。この新しい課題を定量的かつ臨床的な立場から評価した上で、どの程度小型でどの程度の音量が最適かを決める手掛かりが得られた。
 また、ウェアラブル音声生成器では全ての子音を指やペンの動きで生成できるように改良することができた。さらに、それらのプログラムはインタネット上で有料でダウンロードできるようにし、ユーザから生の意見がフィードバックされるようにした。ただし、同時に操作が複雑になり、訓練にようする時間が増えるので、訓練マニュアルの必要性とともに、その程度の操作性で認識精度が得られるかという課題が残された。
結論
「ハンズフリー電気喉頭」および「ウェアラブル音声生成器」の課題について改良化を行い、そのユーザ評価から実用性が向上することを確認した。とくに、新たに開発した拡声器は従来の手持ち式電気喉頭にも装着でき、一般ユーザが大人数の前で講演する時にも利用できるので適用範囲が大きく広がる。一方、指の動きで制御できる音声生成器は、脳神経系障害による発話失行(失語症)にも生かされ、一般ユーザが楽器のように操作する新しい音声楽器にも展開できる。これらは、楽しみながら音声復元ができる支援機器として利用でき、高齢社会におけるQOLの高いリハビリ生活を送る上でも有用である。
 

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027021Z