縦断的・包括的脊髄損傷の治療効果の評価およびそれに必要な医療資源に関する研究

文献情報

文献番号
201027020A
報告書区分
総括
研究課題名
縦断的・包括的脊髄損傷の治療効果の評価およびそれに必要な医療資源に関する研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 真介(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部運動機能外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 芝 啓一郎(労働者健康福祉機構 総合せき損センター )
  • 須田 浩太(労働者健康福祉機構 北海道中央労災病院)
  • 田島 文博(和歌山県立医科大学)
  • 吉永 勝訓(千葉県千葉リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脊髄損傷者に対しての縦断的・包括的な治療がQOL維持および医療費節減効果をもたらす可能性を検証し、脊髄損傷者の治療・管理に必要な標準的な医療資源の質と量を明らかにすることが本研究の目的である。このための患者登録の推進と医療経済学的な評価法についての検討も合わせて行う。
研究方法
機能残存高位ごとに症例収拾を開始した。頚髄損傷では第4頚髄節から第1胸髄節までの6群、胸髄損傷では第5胸髄節までの上位胸髄群とそれ以下の中下位胸髄損傷群の計8群にわけ、さらに各群を運動完全麻痺(ASIA impairment scale A, B)と運動不完全麻痺(ASIA impairment scale C, D)にわけて解析を行う。目標症例数は、合計16群で急性期、慢性期とも20症例ずつとする。主な検討項目は以下の通りである。
1. 急性期における包括的治療(リハビリテーションを含む)による合併症予防効果の検討
2. 慢性期における包括的治療(リハビリテーションを含む)による合併症予防効果の検討
3. 合併症毎の縦断的追跡調査

さらに医療経済学の専門家を招いて、脊髄損傷に対する包括的治療の医療経済学的評価法の検討を行った
結果と考察
包括的評価として生存年数とQOL(Quality of Life)の両方を考慮したQALY(Quality Adjusted Life Years:質調整生存年)が、評価するプログラムの結果の指標として用いられている。これを脊髄損傷に適応すると患者または家族に対するQOL評価が必要で、疾患特異的な尺度の評価を実施し、効用値の妥当性を検証すべきである。ただ、QALY評価に用いるEQ-5DやSF-6Dの評価法では脊髄損傷者では値が非常に低くなることが予測、現時点でQALYを脊髄損傷治療の医療経済的評価には適さない可能性がある。一方、DALY(障害調整生命年)は、死亡が早まることによって失われたであろう寿命(生命年)の概念を、健康でない状態、すなわち障害によって失われた「健康」寿命換算の年数を含めることで拡張した健康ギャップ指標である。現時点でDALYを指標に用いた脊髄損傷治療の医療経済学的評価はオーストラリアで開始されたばかりで、渉猟しえた範囲では他には報告されていない。
結論
QALY、DALYを含めて、どのような指標を用いることが脊髄損傷治療の医療経済学的評価に有用かの検討を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027020Z