精神障害者への対応への国際比較に関する研究

文献情報

文献番号
201027018A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者への対応への国際比較に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中根 允文(長崎大学)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎祐士(東京都立松沢病院)
  • 伊藤弘人(国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会精神保健部・)
  • 川口貞親(産業医科大学産業保健学部)
  • 佐々木一(医療法人爽風会佐々木病院)
  • 白石弘巳(東洋大学ライフデザイン学部)
  • 新福尚隆(西南学院大学、人間科学部(社会福祉学科))
  • 鈴木 満(岩手医科大学精神科)
  • 鈴木友理子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 中根秀之(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科、精神医学)
  • 西田淳志((財)東京都医学研究機構・東京都精神医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国の精神保健医療福祉制度とその実際を調査して、日本における関連制度改革への提言を行う。まず、WHOの各種プロジェクトを分析し、次いで海外主要国での精神保健医療福祉システム・入院医療から地域移行・各種支援・普及啓発等に関する制度の成り立ちと現状に係る最新情報を体系的に整理する。また、精神疾患を発症した在外邦人や在日外国人における実態と対応状況を調査して、適切な対応について関係省庁の枠組みを越えて、国際的視野に立つシステムとしての課題を整理する。
研究方法
WHOによる世界各国の精神保健医療福祉に関する最新情報を要約した出版物やWHOスタッフとの聴き取り調査から、関係情報を入手し分析する。既に公表されている信頼性の高い諸国の情報を取捨し、必要に応じて直接当該地域の関係者から聴取する。在外邦人・在日外国人の精神障害への対応は各分担研究者等のデータを再解析しながら整理する
結果と考察
WHOによる諸国の最新精神医療状況調査のうち、Atlas-2010およびmhGAP使用指針は、本研究班として日本語版刊行を予定。WHO研究協力センターは各領域での疫学研究を通して諸国間格差を明確にしつつあり、周辺諸国と密接な連携の必要性を指摘した。
 22年度迄は、各分担研究者が関わってきた地域の情報を集約・解析、医療経済や医療の質については米国や台湾・韓国を中心に明らかにした。わが国の精神保健福祉法の英訳出版や、EU諸国などでの精神障害者への対応に関する関連法令に立ち返って比較検討し、わが国で注目される「非自発性入院制度」「保護者制度」などに絞って対照表を作成した。
異文化圏で発症した精神障害者について、在外邦人では渡航国や渡航目的によって対応が大きく異なること、現地支援システムの活用可能性に課題のあることを明らかにした。一方、在日外国人については、医療経済的問題の大きさが人的資源と共に無視できない課題であった。
結論
本研究では、研究者と行政担当者の関心事に若干のギャップがあった。研究者は精神疾患患者が如何ように処遇されているかを世界的レベルで探求することが社会精神医学的に関心の高い分野であるが、政策立案者にとってはそうした成果を前提にしながらも、具体的な支援システムを如何に構築するかが主題であり、双方の意図を汲む形で「強制的な精神科医療提供及び保護者制度の諸国間比較対照表」を生み出し、今後の具体的活用に寄与した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027018Z