在宅遷延性意識障害者のQOL向上を目的とした支援の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201027017A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅遷延性意識障害者のQOL向上を目的とした支援の在り方に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
日高 紀久江(国立大学法人筑波大学 大学院人間総合科学研究科 看護科学系)
研究分担者(所属機関)
  • 紙屋 克子(静岡県公立大学法人 静岡県立大学 看護学研究科)
  • 林 裕子(国立大学法人 北海道大学大学院 保健科学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,遷延性意識障害者(以後,意識障害者とする)の在宅生活の継続とQOL向上を目指して,意識障害者と介護者の生活を支える在宅支援のあり方について検討することである.
研究方法
在宅支援の方策として,1.意識障害者が利用する医療・福祉サービスの充実を図る,2.意識障害者の身体・精神機能の向上を目指す,そして3.介護負担の軽減と介護力の強化という観点から研究を行った.①在宅生活の継続に向けて遷延性意識障害者の家族会398名を対象に意識障害者のケアニーズに関する実態調査,②医療・福祉サービスの利用実態と実際の介護の現状を把握する目的で在宅の意識障害者3名のタイムスタディー調査を実施した.③在宅で療養している意識障害者の身体・精神機能の改善を目的にしたモデルケアプランの開発,意識障害者と主介護者23名を対象にケアプランの質に関する研究を実施した.④意識障害者の専門外来時の受診者と介護者に対する療養指導の効果検証を行なった.⑤看護師を対象にした意識障害者の教育看護プログラムの開発するために,文献研究を行った.
結果と考察
①ケアニーズの調査では,意識障害者の介護者には,コミュニケーション能力と摂食嚥下機能の向上がケアニーズの高い項目として挙げられた.②24時間の介護内容と介護量の測定により,意識障害者の介護では吸引や経管栄養等の医療行為に関わる時間以外に,見守りの時間が長いという特徴が認められた.③ケアプランの調査は介護保険利用者を対象に,医療・福祉サービスの利用状況について分析した.④専門外来受診者は,交通事故による意識障害が最も多く,年齢は20歳代が多かった.医学的な診察後に関節拘縮や摂食嚥下機能等の向上に対するケア方法の指導を実施した.外来後の調査から,介護者は回復が見込めないといわてきたが今後の介護に展望がもてた,表情の変化,喀痰量の減少,排便がスムーズになる等,意識障害者に変化が認められたことが明らかになった.⑤看護師に対する教育プログラムは,意識障害のケアに精通する研究者により,身体機能の維持や合併症予防を目的にした従来のケアの概念ではなく自発性や活動性の向上を目標にしたケア方法を取り入れた看護プログラムの開発を行った.
結論
意識障害者の在宅生活の継続とQOL向上には,意思表出や活動性を高めるためのケア方法の開発と実施者の育成,生活全般を支える医療・福祉サービスの充実が重要である.

公開日・更新日

公開日
2011-07-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027017Z