成人期注意欠陥・多動性障害の疫学、診断、治療法に関する研究

文献情報

文献番号
201027014A
報告書区分
総括
研究課題名
成人期注意欠陥・多動性障害の疫学、診断、治療法に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中村 和彦(浜松医科大学 精神神経医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 齊藤 万比古(独立行政法人国立国際医療研究センター 国府台病院)
  • 松本 英夫(東海大学医学部専門診療学系精神医学)
  • 齊藤 卓弥(日本医科大学精神医学教室)
  • 森 則夫(浜松医科大学 精神神経医学講座)
  • 辻井 正次(中京大学現代社会学部)
  • 尾内 康臣(浜松医科大学分子イメージング先端研究センター)
  • 市川 宏伸(東京都立小児総合医療センター)
  • 神尾 陽子(国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精神保健部)
  • 田中 康雄(北海道大学大学院 教育学研究院附属子ども発達臨床センター)
  • 谷 伊織(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人期ADHDの有病率に関する疫学調査を実施し、診療の現状を調査する。ADHDの下位分類において、予後の相違を調査する。被虐待児の父親を調査し,そのADHD的素因の有無を検討する。成人期ADHDの診断に関する基本的な概念を検討する。
研究方法
無作為に10,000人を抽出し、1次調査のスクリーニングを行い、2次調査でCAADIDを実施する。児童精神科医を対象として、成人期ADHDを診断するための診断基準、アセスメント・ツール、検査などについてのアンケート調査を実施する。3年間に某病院を受診した患者のうち、初診時診断ADHDの患者を対象とし、subtype、性別、初診時年齢、加療期間、初診時及び最終のGAF、併存疾患、服薬の有無等においての調査を行う。被虐待児の母に対し、父について,成人期ADHDのASRS-V1.1とCARRS観察者詳細バージョンの2つを記載してもらう。
結果と考察
成人期ADHDの有病率は,2.09%であった。アメリカにおける有病率4.4% と比較すると,やや小さい値であった。診断に際して、「ADHDの臨床診断面接フォーム」や「CAADID」といった半構造化面接が行われることが少ないこと、「CAARS」が使用されることも少ないこと、「医師の経験に基づく通常の診断面接」によって診断を行っていることが示された。ADHD診断の被虐待児の父親には,ADHDの基盤を持つ者と待たない者の両者が混在した。初診時診断ADHDの患者はsubtypeでは混合型が最も多く、subtypeによる予後の差はなかった。DSM-5の草案では、発達の段階を考慮し成人期ADHDを定義している。今後併存障害の合併率や治療への働きかけに対しても大きな影響があると考えられる。
結論
日本において成人期ADHDの有病率が初めて明らかになった。診断に際しては、「医師の経験に基づく通常の診断面接」によって診断を行っていることが示された。ADHDの予後改善のためには、確かな診断に基づく適切な環境設定を行い、薬物加療や対人関係能力の向上などを目的とした加療が重要である。ADHD診断の被虐待児の父親には,ADHDの基盤を持つ者と待たない者の両者が混在することが示唆された。DSM-5の改訂に伴い、成人期ADHDが診断基準に加えられたことで、診断の信頼性が高まるとともに、成人期ADHDの罹患率に変化が起きることが想定される。

公開日・更新日

公開日
2011-07-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027014Z