精神障害および精神障害者に関する普及啓発に関する研究

文献情報

文献番号
201027003A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害および精神障害者に関する普及啓発に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
保坂 隆(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福居 顯二(京都府立医科大学大学院医学研究科)
  • 松島 英介(東京医科歯科大学大学院)
  • 矢倉 尚典(株式会社損保ジャパン総合研究所)
  • 天保 英明(医療法人社団 ハートフル川崎病院)
  • 厚坊 浩史(国立病院機構南和歌山医療センター)
  • 池山 晴人(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,いくつかの精神障害および精神障害者の普及啓発活動を施行し,その効果判定をすることを目的とした。
研究方法
まず,昨年度の長野県小布施町に続いて,和歌山県でも「こころの安全パトロール隊養成講座」を実施した。
次に,地域のFM局ならびにTVを通じて精神障害の普及・啓発に関する放送(以下、放送)を行い、その効果を検証した。
結果と考察
ケースのシナリオからの病名調査から,講座によって,知識レベルでは効果があることがわかった。
受講前の平均受診援助数は1.12件であったが,受講後には2.11件に増加していた。これは受診援助の平均件数では「受講することには中長期的な効果がある」と言えた。
一方,ラジオにおける普及・啓発は人口の約1割しか聴取していないため,啓発活動は効果的ではなかった。TV放送は8割近い人が放送を見ていた。
3種類のメディアを比較すると,TVの場合、新聞よりも事前に放映を見ている割合が高かった。そして、アンケート回答者の多くは受診に関する行動が必要であることを知りつつ、新聞による普及・啓発の調査同様やはり「専門家への相談に抵抗がある」項目で平均点が上昇した。このことは具体的な精神科受診行動をイメージする際に起きる二律背反的なものであると思われる。
結論
実際に受診行動を起こす際に、早期発見、早期治療が必要であることを理解した結果「早期受診が必要」「相談することが大事」「自分も相談する」の3項目で平均点の上昇が見られたと思われるため、やはり新聞の調査同様、今後は普及・啓発に関して「精神科受診に対する抵抗」を低減する試みが必要であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
201027003B
報告書区分
総合
研究課題名
精神障害および精神障害者に関する普及啓発に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
保坂 隆(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福居 顯二(京都府立医科大学大学院医学研究科)
  • 松島 英介(東京医科歯科大学大学院)
  • 矢倉 尚典(株式会社損保ジャパン総合研究所)
  • 天保 英明(医療法人社団 ハートフル川崎病院)
  • 厚坊 浩史(国立病院機構南和歌山医療センター)
  • 池山 晴人(近畿中央胸部疾患センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いくつかの精神障害および精神障害者の普及啓発活動を施行し,その効果判定をしてみた。
研究方法
①2カ所で「こころの安全パトロール隊養成講座」を実施し,前後で精神障害に関する知識に関するアンケートを施行し前後比較した。また3ヶ月間の受診援助者数の前後比較をした。
②新聞を用いて普及啓発をして,精神障害に関する前後での住民意識調査を死比較した。
③FMラジオを用いて普及啓発をして,精神障害に関する前後での住民意識調査を死比較した。
④テレビを用いて普及啓発をして,精神障害に関する前後での住民意識調査を死比較した。
結果と考察
①知識・受診援助数は有意に増加した,各項目の満足度も高かったが,スクリーニング・スキルの習得には自信が得られなかったようだ。このような講座は知識の習得には効果的であったが,スクリーニング技術の習得には無理があったということになる。今後は,どのような講習会がスクリーニング技術の習得に効果的かどうかという,プログラム内容の検証が必要になってくる。
②「早期に適切な治療を受ければ多くは改善する」・「専門機関に相談することに抵抗がある」の項目で有意な変化が見られた。
③FMラジオは住民の1割程度しか放送を聴いていないことがわかった。
④TV放送前後でいずれも8割近い人が精神障害に関する放送を見ている結果が示された。そして前後比較では「こころの病に興味がある」「TV放送は好ましい」得点が増え,「こころの病は難しい」の項目で平均点の低下が見られた。このことからTV放送は市民におおむね好意的に受け止められたと思われる。
結論
精神障害および精神障害者に関する普及啓発の効果は本研究で明らかになったように,
①より長期的に評価することと,
②結果として(受診援助,退院,就労,社会復帰,その他の)数字上の変化を評価すること,
の2点が必要である。
精神障害および精神障害者に関する普及啓発の方法としては,3種類のメディア(新聞,ラジオ,テレビ)のうち,住民に最も届きやすいメディアはテレビであったことが明らかになったが,普及・啓発に関しては「精神科受診に対する抵抗」を低減する試みが同時に必要であることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201027003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
精神障害に関する」講演・講習会(こころの安全パトロール隊養成講座)の前後と中長期的な効果について検討した。さらに,新聞・ラジオ・テレビという3つのメディアによる啓発活動の効果についてそれぞれ検討した。最後に,「メディアドクター」という新しい研究領域を開発した。
臨床的観点からの成果
精神障害に関する知識についての啓発は容易であるが,たとえばうつ病や認知症のスクリーニング/スキルの獲得には特別なプログラムの開発が望ましいことがわかった。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
「メディアドクター」という新しい研究領域を開発した。
その他のインパクト
メディア側と医療者側が一堂に会して,医療記事に関する評価を行うことの意義を確認し,「メディアドクター」という新しい研究領域を開発した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027003Z