アルツハイマー病の新規細胞医薬開発に関する臨床応用研究

文献情報

文献番号
201026020A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病の新規細胞医薬開発に関する臨床応用研究
課題番号
H22-認知症・若手-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
内村 健治(独立行政法人 国立長寿医療研究センター アルツハイマー病研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,740,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨髄由来ミクログリア細胞がアルツハイマー病態に伴って脳内へ移行し、神経毒性アミロイドβタンパクを積極的に除去していることがモデルマウスを使用した解析より国内外で明らかになってきた。アルツハイマー病態脳内への細胞浸潤に糖鎖認識細胞表面分子が深く関わる事を申請者は明らかにした。モデルマウスの結果がアルツハイマー病発症においても観察されるか否かを臨床サンプルの使用により明らかにする事を目的とする。さらに、脳移行性分子メカニズムの知見を細胞医薬開発へ応用しアルツハイマー病新規治療法開発の技術基盤を提供することを目指す。
研究方法
ヒト骨髄由来細胞株を入手しその細胞表面における分子の発現を検証した。非認知症8例、アルツハイマー病8例のヒト剖検脳サンプルにおける糖鎖認識細胞表面分子およびリガンド糖鎖の発現変動を解析した。ヒト試料を用いた研究実施に際しては人権の保護および個人情報の保護に最大限の注意を払うことを理解遵守した。
結果と考察
ヒト骨髄由来細胞株において糖鎖認識細胞表面分子のリガンドが発現していることを確認した。アルツハイマー病態脳における当該細胞の動態を生体内ビデオ蛍光顕微鏡技術で解析する必要性が示された。一方、アルツハイマー病剖検脳嗅内皮質における糖鎖認識細胞表面分子の発現上昇をウェスタンブロット法により一部明らかにした。また、認知機能の中枢である海馬においてリガンド糖鎖合成酵素のアルツハイマー病群における特異的発現上昇を確認した。これらの結果はモデルマウスで観察された骨髄由来ミクログリア細胞のアルツハイマー病態に伴う脳内移行がヒト病態脳でも起きている可能性を示唆した。
結論
本研究結果よりアルツハイマー病態を軽減させる細胞医薬の技術基盤の提供が強く期待された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201026020Z