J-ADNIコアスタディ:画像・バイオマーカーの解析・活用と臨床研究体制の確立

文献情報

文献番号
201026017A
報告書区分
総括
研究課題名
J-ADNIコアスタディ:画像・バイオマーカーの解析・活用と臨床研究体制の確立
課題番号
H22-認知症・指定-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岩坪 威(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学 臨床医学系)
  • 荒井啓行(東北大学 加齢医学研究所)
  • 高橋 智(岩手医科大学)
  • 山田正仁(金沢大学 医学部)
  • 杉下守弘(新潟リハビリテーション大学院大学)
  • 松田博史(埼玉医科大学)
  • 伊藤健吾(国立長寿医療研究センター)
  • 千田道雄(先端医療センター)
  • 桑野良三(新潟大学 脳研究所)
  • 佐藤 元(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 佐藤典子(国立精神神経医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、アルツハイマー病(AD)根本治療薬の創出を目指し、効果の客観的評価指標確立を目的とする全国臨床研究「J-ADNI」を更に発展させ、成果の実用化を促進することを目的とする。
研究方法
 朝田はADNIにおいてBPSD評価に用いられるNPIのバリデーションを行った。荒井は東北大学をモデル臨床施設とし、臨床研究を実行した。高橋はMRI解析を大脳から脳幹青斑核に拡張応用した。山田はADのMRIによる評価における後部帯状回の意義を検討した。杉下はMMSEの妥当性について検証した。松田はMRIによる脳撮像の補正法の効果について検証した。伊藤は多施設PET研究における標準化撮像体制を推進、千田はFDG-PET画像の経時変化の解析を行った。桑野は髄液測定の技術的問題点を解析した。佐藤元はアミロイドPET計測の国際比較を行った。佐藤典子らはデータマネージメントと検査状態把握・整理のためのデータ抽出・分析法の検討を行った。岩坪は全国38施設におけるJ-ADNI研究を指揮した。
結果と考察
朝田らはBPSDを評価する手段として用いられるNPIの予測的妥当性を確認した。荒井らは東北大学サイトにおいてフルスペクトラムのADNI研究を先導的に行い初の剖検例を取得した。高橋らは3T MRIをAD, MCIに応用し、脳幹青斑核の萎縮を実証した。山田らは,頭部MRIを用いたAD診断において,関心領域として側頭葉内側部以外に後部帯状回を加えることにより,診断精度が向上することを実証した。杉下はMMSE-Jが認知症のスクリーニング検査として十分に使用可能であることを示した。松田らはMRI画像の信号値の不均一性補正法と幾何学的歪み補正法を確立、その適用により再現性が向上することを示した。伊藤らはPET検査の標準化と品質管理を実施し、関連解析を推進した。千田らはFDG-PETにより脳の糖代謝の経年変化を評価できることを示した。桑野らはJ-ADNI脳脊髄液検体のアミロイドβ、タウ、リン酸化タウを測定し、国際比較を行った。佐藤元らは各国ADNIにおけるアミロイドPET測定結果の相違の要因を分析した。佐藤典子らは各種解析に向けたデータマネージメントと被験者状態や検査状態把握・整理のためのデータ抽出・分析法の検討を行った。これらの研究によりJ-ADNI臨床研究が円滑に推進され、解析促進、国際協力、将来の根本治療薬治験への道筋が示された。
結論
 画像・体液バイオマーカーを駆使したADの進行度マーカーを確立するJ-ADNI研究の基盤と臨床応用、国際基準統一、治験への応用に向けた研究が順調に実行された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201026017Z