認知症早期発見のためのツール開発と認知機能低下抑制介入に関する研究

文献情報

文献番号
201026012A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症早期発見のためのツール開発と認知機能低下抑制介入に関する研究
課題番号
H22-認知症・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 龍太郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
研究分担者(所属機関)
  • 山口 晴保(群馬大学 医学部保健学科)
  • 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科)
  • 粟田 主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 石井 賢二(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所付属診療所))
  • 藤原 佳典(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 児玉 寛子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、自治体で実施可能な認知機能の低下抑制プログラムを多元的に開発することと、早期認知症のスクリーニング方法を開発することである。今年度は、東京都内と群馬県内の3か所において、主に認知機能低下のリスクをもった高齢者を対象に、無作為化比較対照試験による介入プログラムの認知機能低下抑制効果を検証した。
研究方法
山口らは前橋市の認知症でない高齢者87名を介入群44名、対照群43名に割り付け、週1回120分間の運動を含む複合プログラムを全12回実施した。粟田らは、千代田区在住の認知症でない高齢者80名を介入群40名、対照群40名に割り付け、ウォーキングの習慣化を目標とした介入プログラムを週1回90分間、計20回実施した。藤原らは、大田区で、記憶力の愁訴がある地域高齢者を、介入群11名と対照群12名に割り付け、記憶・実行機能、感情表現、基礎体力づくりの訓練に特化した読み聞かせプログラムを、週1回全12回行った。評価内容は、主として出席率などのプロセス評価、認知機能、運動機能、心理社会的機能などのアウトカム評価である。
結果と考察
前橋市における複合プログラムによる3か月の介入結果では、軽度認知障害群において認知機能の改善効果が認められた。千代田区における5か月のウォーキングによる運動プログラムの介入結果では、注意・遂行機能や社会的活動能力の向上に寄与する可能性が示唆された。絵本の読み聞かせプログラムでは、言語性記憶、視覚性記憶の向上の可能性、注意分割・実行機能の向上の可能性が示唆された。また、いずれの地域の研究においても、高い出席率が維持されており、対象者の参加意欲や主体性を高めるような支援方法ができたと考えられる。
結論
地域特性や参加者の募集方法の違いなどによって結果を直接的に比較することはできないが、習慣的な運動や世代間交流活動プログラムの参加によって運動機能の向上、社会活動能力の改善、認知機能の低下抑制効果が認められた。特に参加者の認知機能が軽度に低下している場合に、その効果が顕著に示され、軽度認知障害の高齢者に対するプログラムの意義が示唆された。一方、少人数のグループ活動を運営する上では、積極的に軽度認知障害高齢者を支援する健常高齢者の参加も必須であり、参加者の募集方法に工夫が必要であると思われた。次年度は、今年度の成果を踏まえて、プログラムを改良し、無作為化比較対照試験を実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201026012Z