認知症ケアの国際比較に関する研究

文献情報

文献番号
201026011A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症ケアの国際比較に関する研究
課題番号
H22-認知症・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中島 民恵子((財)医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 三春((財)医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部 )
  • 永田 久美子(認知症介護研究・研修東京センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、諸外国における認知症の地域包括ケアをめぐる理念・課題・政策動向について基礎情報を収集・整理し、各制度における認知症対策の位置づけ、認知症の人の各ステージを継続的・包括的に支援する多職種地域ケアチーム等について国際比較を行うことで、わが国で地域包括ケアを基盤とした認知症対策をより効果的・効率的に進めるための指針と具体的方策、不足している要素を明らかにすることを目的とする。
研究方法
本研究は、主に「0)有識者インタビュー」「1)国際比較のための基盤制度およびデータに関する基礎調査」「2)認知症の地域包括ケアをめぐる理念・課題・政策動向に関する国際比較研究」「3)認知症高齢者の終末期における医療やケアの国際比較研究」に大別される。1)では文献調査、2)では文献および海外現地調査、3)では質問紙調査を用いた。
結果と考察
1)では世界全体で認知症の人の数の増加が示され、全地域における認知症ケアの合計コストのうち70%が西ヨーロッパと北アメリカで発生していると推計されていた。2)では各国の国家戦略の内容はケア内容を中心としたものから全体の枠組みに言及するものまで多様であることが明らかになった。3)では全般的に冊子の内容に対する職員の受け入れ度は高く、冊子が提供する情報のバランスに関しては「バランスはこれでよい」という回答の割合はいずれの項目でも7割前後を占めていたがオランダやイタリアと比べると低い傾向があった。
結論
本研究を通して、各国の認知症ケアの全体像を把握することができた。各国とも実情を踏まえた取組みをしており、共通点、相違点を今後さらに検討していくことで日本の基盤のあり方への示唆が得られると考えられた。
今後、日本においてもさらなる認知症の人の増加が見込まれている。特に財源の確保が厳しくなっている現状において、認知症の国家戦略等の認知症の人のステージを加味した体系的な政策形成を進めていくことは急務である。もちろん、認知症の国家戦略等の形成だけで問題が解決するわけではないが、国、自治体、当事者、地域住民、専門職等の関係するアクターが目指すべき方向性と実質的な方法を共有していくことは、日本における認知症ケアの対策推進の一助にはなると考える。

公開日・更新日

公開日
2011-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201026011Z