文献情報
文献番号
201026010A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方方剤「抑肝散」によるアルツハイマー病BPSD軽減効果の検証-プラセボ対照無作為化臨床第2相比較試験
課題番号
H22-認知症・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 啓行(東北大学 加齢医学研究所 老年医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 浦上 克哉(鳥取大学 医学部)
- 朝田 隆(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
- 松井 敏史(国立病院機構 久里浜アルコール症センター)
- 高橋 智(岩手医科大学 内科学講座 神経内科・老年科ブンヤ)
- 神崎 恒一(杏林大学医学部 高齢医学教室分野)
- 鳥居塚和生(昭和大学薬学部)
- 川原信夫(医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
16,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
漢方方剤「抑肝散」によるアルツハイマー病に伴なう精神症状・問題行動の軽減効果を、生薬やプラセボの味覚識別試験や基礎薬理学的検討を行ないつつ、実薬(抑肝散)及びそのプラセボを用いての臨床第2相試験で検討することを目的とする。
研究方法
平成22年度の研究により、①計3回の班会議を開催し試験デザインを検討した。②試験デザインの最終プロトコールを確定しキックオフ会議を行なった。③東北大学および他の分担研究施設において倫理審査委員会からの承認を受けた。④東北大学TRセンター内にデータセンターを設置した。⑤神経心理テスト実施の標準化を図るための講習会を実施した。⑥試験計画をUMINに登録した。登録は全国5施設から16施設に拡大し平成23年4月から開始する予定である。実際には選択基準に適合する「臨床的にほぼ確実とされるアルツハイマー病患者」140名を登録し、東北大学TRセンター内に設置したデータセンターによってプラセボ群70名、抑肝散群70名の2群にランダム化割り付けを行なう。試験は、多施設共同無作為化並行群間二重盲検比較試験として行なう。
結果と考察
川原信夫は抑肝散とプラセボの味認識装置による識別の検討を行なった。鳥居塚和生は、嗅覚障害モデルマウスを用いて感覚器入力に対する行動薬理学的検討を行なった。神埼恒一研究分担者は抑肝散長期投与による家族介護負担感軽減の検討を行なった。高橋智研究分担者は易怒性の指標に関連してMRIによる青斑核のイメージングを行なった。朝田研究分担者は、認知症に対する漢方治療の現状のレビューを行なった。浦上克哉研究分担者と松井敏史研究分担者は平成23年度からの臨床試験に向けて抑肝散の長期投与に伴なう安全性の確認を行なった。患者選択基準は、治療開始時のNPI-Q-Jトータルスコアが4点以上あることに加えて、治療開始時のNPI-Q-Jサブスコアで「興奮」「易刺激性」の2項目の合計が2点以上あることとした。これは、Okaharaらの研究(Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2010; 34: 532-6.)から抑肝散の有効性が現れやすい背景をサブ解析した結果得られてものである。
結論
本研究の組み入れ基準は抑肝散の使用目標つまり「証」が「神経過敏で興奮しやすく、怒りやすい、イライラする」と記載されていることと合致する。本試験研究は、東洋医学的な証も勘案した(エントリー段階での縛りを設けた)研究デザインとなった。
公開日・更新日
公開日
2011-06-28
更新日
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