認知症の行動心理症状に対する原因疾患別の治療マニュアルと連携クリニカルパス作成に関する研究

文献情報

文献番号
201026006A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の行動心理症状に対する原因疾患別の治療マニュアルと連携クリニカルパス作成に関する研究
課題番号
H21-認知症・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
数井 裕光(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 武田 雅俊(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 遠藤 英俊(国立長寿医療センター包括診療部 老年医学)
  • 井関 栄三(順天堂大学医学部 老年精神医学)
  • 森原 剛史(大阪大学大学院 医学系研究科 )
  • 田伏 薫(財団法人浅香山病院 精神医学)
  • 釜江 和恵(繁信 和恵)(財団法人浅香山病院 老年精神医学)
  • 澤 温(医療法人北斗会さわ病院 精神科救急医学)
  • 西川 隆(大阪府立大学 リハビリテーション学部)
  • 河野 あゆみ(大阪市立大学 在宅看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)疾患別・重症度別治療・ケアガイドブックの作成、(2)心と認知の連携ファイルの作成、(3)専門病院で入院治療した患者データから入院治療すべきBPSDの基準作成、(4)疾患別・重症度別治療・ケアガイドブックと連携ファイルを用いた連携システムの有用性検証のための前向き研究の開始の4つを中核課題を行った。以下の方法、結果と考察は課題ごとに記述する。
研究方法
(1)平成21年度に作成した疾患別治療・ケアガイドブックに重症度を加味して改訂した。(2)初年度に作成した心と認知の連携ファイル試案を2人の認知症患者に対して作成し、3ヶ月間運用した。この間、1ヶ月に一回連携会議を開催し、連携ファイルの内容と運用法について問題点を明らかにした。(3)4つの認知症専門病院にBPSD治療目的で入院した連続157例のNeuropsychiatric Inventory(NPI)データから、入院治療が必要となるBPSDの基準を作成した。さらにBPSDの推移を明らかにした。(4) 大阪府吹田市と豊中市において上記(1)、(2)を用いて、家族介護者、ケア施設、かかりつけ医、認知症専門病院間の連携が円滑になり、家族介護者の介護負担が軽減し、患者のBPSDが軽減するか否かを明らかにするための前向き研究を平成23年2月より開始した。
結果と考察
(1)ガイドブックは総論、アルツハイマー病(初期、中期、後期)、レビー小体病(初期、中期、後期)、血管性認知症、前頭側頭型認知症(初期・中期、後期)の全10種類となった。それぞれは多くとも40頁以内の分量でかつ、家族介護者など非専門家でも理解しやすいことを確認でき当初の予定通りであった。(2)連携ファイルは患者情報を一元化する部分と連携に関する部分の2つに特化した。また家族介護者がBPSDの出現を予防するために今後出現しうる症状を記載する項目を作成した。(3) 入院治療が必要となりやすいBPSDは興奮、妄想、異常行動、睡眠障害で、それぞれの入院治療の基準はNPIスコアで8、6、8、6以上が適切と考えられた。またBPSDの治療に要する期間は1ヶ月程度であった。(4) 患者59名、かかりつけ医75名、介護サービス事業所84施設、ケアマネジャー48名が参加し研究継続中である。
結論
連携パスを構築する下位システムを予定通り作成した。最終年度は、(4)の研究を8月に終了し、このシステムの有用性を検証した後、連携パスを完成させる。

公開日・更新日

公開日
2011-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201026006Z