介護予防の効果検証のための研究-長期コホート研究によるリスク評価と介入研究による検証

文献情報

文献番号
201025019A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防の効果検証のための研究-長期コホート研究によるリスク評価と介入研究による検証
課題番号
H22-長寿・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
下方 浩史(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 予防開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 英世(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)
  • 細井 孝之(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 臨床研究推進部)
  • 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科)
  • 松下 健二(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 口腔疾患研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
20,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域における虚弱高齢者の実態を明らかにするとともに、介護予防施策の効果を検証することを目的に研究を行った。
研究方法
運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上、閉じこもり予防・支援、認知症予防・支援、うつ予防・支援の6分野における介護予防施策の効果を、65歳以上人口約1万人の地域における悉皆調査により検証するとともに、地域住民および患者を対象とした5つの長期コホート研究により虚弱高齢者の実態を明らかにした。さらに口腔機能に関しては介入による予防の有効性を検証した。
結果と考察
介護予防事業悉皆調査では基本チェックリストで決定された特定高齢者は要支援・要介護となるリスクが高かったが、特定高齢者を対象とした介護予防事業で、要支援・要介護となるリスクが下がっていた。長期コホートによる調査では、地域に在住している65歳以上の高齢者のうち、運動機能が低下している虚弱高齢者の割合は男女とも約11パーセント、認知症の可能性がある者の割合は男女ともに約4パーセント、抑うつがあると判断された者の割合は、男性は13パーセント、女性は16パーセント、閉じこもりは男性の3パーセント、女性の4パーセント、歯周炎がある者は男性の66パーセント、女性の60パーセント、栄養が不足している者は男性の20パーセント、女性の17パーセントと、介護や支援が必要となる6つの分野での虚弱高齢者は、全体としてその割合が高いことが分かった。 また、高齢者の基礎的運動機能のとしての筋力、歩行、バランスのいずれも機能が低いほど要介護認定が高い傾向がみられた。介入による口腔の健康度の変化に関しては、処置歯数の増加とともに、歯石の減少、歯周病の低下が認められた。加えて、セルフケア行動の改善も見受けられ、一日の口腔清掃回数の増加とデンタルフロス使用頻度の増加が認められた。さらに、認知機能(MMSE)のに改善とともに、心理状態の変化も顕著に認められた。
結論
地域には虚弱高齢者が多くいることが明らかになった一方で、地域での介護予防事業による要支援・要介護予防効果が認められた。特に口腔の健康に関しては介入の効果が認められた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025019Z