骨粗鬆症の尿スクリーニング検査の費用対効果に関する研究

文献情報

文献番号
201025018A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症の尿スクリーニング検査の費用対効果に関する研究
課題番号
H21-長寿・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
新飯田 俊平(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 遺伝子蛋白質解析室)
研究分担者(所属機関)
  • 上西 一弘(女子栄養大学)
  • 濃沼 信夫(東北大学大学院)
  • 田中 清(京都女子大学)
  • 池田 義孝(佐賀大学大学院)
  • 田中 伸哉(埼玉医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
欧米では骨粗鬆症検診(骨検診)から早期医療介入への道筋ができ、人口あたりの骨折発症率が減少に転じた地域もあるが、日本における骨折件数は依然として増加している。この増加に歯止めをかけるには潜在する骨折リスク者の骨検診を促進させ、早期医療介入に誘導すべきであるが、わが国の骨検診の受検率は極めて低い。この喫緊の課題を克服するためには、行政が検査費用を全額負担するか、低コストの新たな骨検法を開発し、行政健診に組み入れて骨検診を標準化することが有効である。本研究では、廉価な検査法である尿中γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(uGGT)を指標とした新規骨検診法を一次検診に導入した場合の検診成績とその費用対効果について検討することを目的とする。
研究方法
地域の成人女性ボランティア約2,000人を対象にuGGT検査を実施した。uGGT検査の有効性を従来の検診法と比較するため、橈骨骨密度測定または踵骨骨密度測定を同時検査する2群を設定した。uGGT検査により「要精密検査」と区分された者のうち、二次検診を受検した者については医用機関より二次検診結果を送付してもらった。検診の成績を従来法比較するほか、測定で得られた各種パラメーターとuGGT値との関連について統計的に検討した。医療機関における二次検診費用を含めた全体のコストを計算し、有病者発見における費用対効果を算出した。また、uGGTの尿へ遊離についての生化学的検討を行った。
結果と考察
現在暫定的に定めたuGGT検査のカットオフ値による骨検診では43%が要精密検査に区分された。本検査法は感度は良好であったが、特異度が低いことが示された。しかしながら、骨密度検診の場合より2倍多く有病者発見につながった。全体の費用は、uGGT検査による一次検診費用は骨密度検査の1/10程度だが、二次検診費用は受検者が増えたことで骨密度検査群の2.5倍多くかかった。しかし、有病者の早期発見を効果とした場合の費用対効果では、uGGT検査の方が骨密度検査より4倍の効果見積もられた。
 uGGTと骨代謝の関係についての検討では、超音波骨密度測定で得られる減衰率に負の相関を示すこと、尿細管細胞がビタミンD3およびPTHなどの骨代謝因子で刺激さるとGGTが細胞から遊離することなどが明らかになった。
結論
uGGT検査は骨密度測定による検査より4倍の費用対効果が見込まれることが示された。

公開日・更新日

公開日
2011-08-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025018Z