骨粗鬆症椎体骨折に対する低侵襲治療法の開発

文献情報

文献番号
201025016A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症椎体骨折に対する低侵襲治療法の開発
課題番号
H21-長寿・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
四宮 謙一(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科整形外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 永田 見生(久留米大学医学部整形外科学教室)
  • 市村 正一(杏林大学医学部整形外科学教室)
  • 徳橋 泰明(日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野)
  • 武政 龍一(高知大学医学部整形外科)
  • 大川 淳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科整形外科学)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
  • 中村 博亮(大阪市立大学医学部研究科整形外科)
  • 戸川 大輔(社会福祉法人函館厚生院 函館中央病院脊椎センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
25,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨粗鬆症椎体骨折に関して、適切な保存的治療の標準化と、安全で低侵襲な手術法を開発することにより、寝たきり状態の撲滅を目指すものである。 保存治療に関しては一部の結果を公表し、大規模研究の足がかりを作る。手術例に関しては、各群20例を行い、初期臨床成績を検討する。
研究方法
1)保存的療法の有効性
早期離床および、硬性コルセットの有効性を確認する目的で、2人の分担研究者がそれぞれ独自のプロトコールのもとで比較研究を行う。
2)各種低侵襲性手術法の開発
①内視鏡によるリン酸カルシウムセメント(CPC)注入②バルーンカイフォプラスティー後のCPC注入③経皮的CPC注入④ハイドロキシアパタイト挿入⑤バルーンカイフォプラスティー後の骨セメント注入、をそれぞれ20症例に適応する。48週間の経過観察により、臨床成績および画像解析により、有効性、適応症例について検討を行う。
3)有効性の客観的評価と椎体形成術の基礎研究
 疼痛の程度を筋電計により客観的に評価し、手術に使用される骨補てん材のについて基礎的研究を行う。
結果と考察
骨折の受傷初期に体幹ギブス固定を行い早期離床するか、硬性型コルセットの装着で、より疼痛の改善や骨折椎体の圧潰進行の予防に優れていることが示された。本結果の一部は、すでに日本整形外科学会誌での報告を行い、日本整形外科学会会員に対して周知した。今後は、より大規模な多施設研究により、治療法の標準化を目指すべきと考えられた。
治療対象が高齢者であることを考慮すると、手術侵襲はできるだけ軽微でしかも有効性が高いことが望ましい。第2年度が終わった段階で、低侵襲手術に関しては各群の予定症例数である20例に欠けているものの、いずれの治療法でも治療初期に除痛が得られ、臨床的には良好な成績が得られることが確認できた。ただし、隣接椎体骨折は予想以上に多く、一部の症例では注入したセメントの漏出も見られた。今後さらに症例を集積して臨床成績と合併症の検討を行うとともに、画像に関しても経時的な変化について解析を行う必要がある。
結論
有効性の高い保存的治療の体系がほぼ明らかとなり、今後の大規模な多施設共同研究の計画ができる状態となった。また、低侵襲手術法は、ほぼ目標症例数に対して手術が行われ、初期の臨床成績は良好であった。今後、画像解析を、3人の第三者評価者に依頼して進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-08-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025016Z