腰痛の診断、治療に関する研究「腰部脊柱管狭窄症の診断・治療法の開発」

文献情報

文献番号
201025015A
報告書区分
総括
研究課題名
腰痛の診断、治療に関する研究「腰部脊柱管狭窄症の診断・治療法の開発」
課題番号
H21-長寿・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 和久(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 山下 敏彦(札幌医科大学医学部整形外科学)
  • 竹下 克志(東京大学医学部附属病院整形外科)
  • 吉田 宗人(和歌山県立医科大学整形外科学)
  • 永田 見生(久留米大学医学部整形外科学)
  • 田口 敏彦(山口大学大学院医学系研究科整形外科学)
  • 高橋 啓介(埼玉医科大学医学部整形外科学)
  • 紺野 愼一(福島県立医科大学医学部整形外科学)
  • 野原 裕(獨協医科大学医学部整形外科学)
  • 星野 雄一(自治医科大学整形外科学)
  • 谷 俊一(高知大学教育研究部医療学系整形外科学)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部整形外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,525,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腰部脊柱管狭窄症の正確な頻度、自然経過の調査をもとに、一次検診にて使用可能な診断基準の作成、さらに重症度判定にもとづく運動器疾患専門医への紹介指針の作成、新たな予防及び治療法の開発を目的とした。
研究方法
(1) 疫学的研究及び予後に関する研究:本症の我国における年齢別、性別分布、頻度等について調査を継続した。
(2) 日常生活動作及び生活の質に関する研究:介護予防の観点から、本症患者の日常生活動作、生活の質について横断的調査を行い、本症の高齢者における身体活動低下に対する影響を調べ、基礎データの集積をはかった。
(3) 診断基準及び紹介指針の作成:既存の診断サポートツールをもとに、第一線の医療機関にて使用可能な診断基準を作成し、その有用性を検証した。さらに、重症度判定の結果にもとづき、運動器疾患専門医に紹介すべき指針のデータを得た。
(4) 運動療法に関する研究:本症に対する運動療法(理学療法を含む)を新たに開発のためその有効性をEMGおよび近赤外線分光法によるHbIの測定により検証した。
(5) 薬物療法に関する研究:本症に対する薬物療法の有用性を評価するために、電気生理学的手法を開発した。
(6) 腰部脊柱管狭窄症に対する低侵襲手術法の開発に関する研究
本症の患者の早期社会復帰をはかるための低侵襲手術法の開発を動物実験に試みた。
結果と考察
疫学と予後に関する研究では、1年間の多施設コホート研究を行った。日常生活動作及び生活の質に関する研究では、旧JOA score, VAS, JOABPEQによる手術治療群74名、保存治療群15名の検討が終了した。これとは別に手術治療群64名、保存治療群27名の検討を行った。紹介指針に関する研究では、1年間の追跡調査で、1年後も腰部脊柱管狭窄症ありと判定される因子は、身体所見ではなく、自覚症状であることが明らかとなった。診断サポートツールはプライマリーケア医による診断に有用であったが、身体所見については運動器専門医との一致率が低かった。運動療法に関する研究では、本症患者には,歩行開始とともに血流動態が経時的に低下していく例がみられた。薬物療法に関する研究ではPGE1製剤点滴投与の即時効果として、跛行距離の延長とF波潜時の短縮がみられた。低侵襲手術法の開発に関する研究では、動物モデルを作製し、筋組織損傷の進行と回復過程を検討した。
結論
本研究により、腰部脊柱管狭窄症の予防を含めた治療体系が確立され、わが国における高齢者の介護予防の達成が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025015Z