介護予防における口腔機能向上・維持管理の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201025010A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防における口腔機能向上・維持管理の推進に関する研究
課題番号
H21-長寿・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
菊谷 武(日本歯科大学 生命歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 植田 耕一郎(日本大学 歯学部)
  • 関野 愉(日本歯科大学 生命歯学部)
  • 渡邊 裕(東京歯科大学)
  • 西原 達次(九州歯科大学 歯学部)
  • 平野 浩彦(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 大原 里子(東京医科歯科大学 歯学部)
  • 北原 稔(神奈川県厚木保健福祉事務所)
  • 村田 貴俊(日本歯科大学 生命歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成18年度に新介護予防給付の選択的サービスとして「口腔機能の向上」サービスが実施されているが、その提供件数は著しく低く、同サービスは普及・定着していない状況である。そこで本研究は、口腔機能向上サービスの事業所への普及・定着を促進する方策を検討し、口腔機能向上による介護予防効果を高めることを目的に行った。
研究方法
要介護高齢者2000名の口腔機能、口腔衛生状態の評価と追跡調査を行うことで、誤嚥性肺炎の発症リスク、ADL低下リスクを検討し、効果的な口腔機能向上サービスの実施プログラムの作成を行った。
歯科衛生士に対する口腔ケアの理論や技術教育のために、e-Learingや、電子掲示板、SNS(Social Network System)などのICTを組み合わせ、適切に情報共有が図れるシステム構築及び稼働を行った。
認知症と口腔機能に関する研究では、認知症高齢者における食行動も含めた口腔保健行動の実態把握を行った。
結果と考察
専門職人材確保のために、地域において専門職の事業所への職業紹介などが行えるモデル事業を複数個所において立ち上げた。また口腔ケアの指標について、細菌数と嚥下機能や栄養状態を考慮したモデルにて解析を行い、108.5以上を基準としたモデルにおいて細菌数の因子が肺炎発症と有意な関連を示すことが示された。
開発したe-Learningを実際に未就業歯科衛生士に試用させた。さらに、先進的な地域で実施している口腔機能向上の普及・啓発に関する有効な方策を検討し、他の地域で広く実施できる方策を明らかにした。認知症高齢者の実態把握から見えてきたケア実施における課題提示を行った。
結論
1.歯科衛生士の人材育成、事業所のニーズの増加について一定の効果が認められた。
2.唾液中の細菌数の増加は肺炎発症のリスクとなることが示された。
3.咬合支持を有する高齢者の咀嚼能力は、口腔器官の運動能力の影響を受けることが明らかになった。
4.歯科衛生士会を中心としたグループ就業と歯科衛生士の養成モデルの検証では、概ね受け入れられた。
6.サービス事業希望者に対するe-Learningによる就職支援プログラムの施用に関して、実サービスの提供が可能となった。
7.認知症高齢者への口腔機能向上サービスの効果的な提供には、事前の客観的な認知機能評価が有効であることが示唆された。
8.一般高齢者・特定高齢者の共用教育ツールの開発では、口腔機能向上事業参加率改善を促進すると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025010Z