介護予防サービスの効果評価に関する研究

文献情報

文献番号
201025009A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防サービスの効果評価に関する研究
課題番号
H21-長寿・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
辻 一郎(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第1に介護予防特定高齢者施策の効果と費用対効果を解明すること、第2に運動器の機能向上プログラムの効果的な実施方法を解明すること、第3に要支援・要介護状態に陥るハイリスク群をより正確に予測するためのマーカーを解明すること。これにより介護予防の効果と効率に関するエビデンスを確立する。
研究方法
介護予防事業の効果と費用対効果:全国の1,643介護保険者を対象に、平成18?20年度の人口数、介護予防事業の利用者数・事業費、要介護認定率・介護給付費を調査した。特定高齢者施策の利用者数と事業費に応じて保険者を5群に分け、要介護認定率・介護給付費の推移(平成17年度に対する平成20年度の増加率)との関連を検討した。
運動器の機能向上プログラムの効果と関連する要因:全国で運動器の機能向上プログラムを利用した特定高齢者1,157名を対象に、同プログラムの内容(実施回数・時間・方法など)と生活機能の推移との関連を分析した。
血清マーカー・睡眠と要介護認定リスクとの関連:仙台市の地域高齢者コホート602名を5年間追跡し、血清マーカー・睡眠時間と要介護認定リスクとの関連を分析した。
結果と考察
介護予防事業の効果と費用対効果:特定高齢者施策の利用者の多い群ほど要介護認定者数の増加率は有意に低く、最少群(高齢者千人あたり2.5人未満)で8.0%増加に対して最多群(同10人以上)では4.8%増に留まった。介護予防事業費の多い群ほど介護給付費の増加率は有意に少なく、最少群(高齢者1人あたり1,000円未満)で9.9%増加に対して最多群(同2,500円以上)では4.3%増に留まった。また、介護予防事業の費用よりも節減される介護給付費用の方が大きいことが示唆された。
運動器の機能向上プログラムの効果と関連する要因:月に8回以上実施している群、マシンによる筋力増強訓練・持久性訓練を実施している群では生活機能の改善が著しいことが分かった。
血清マーカー・睡眠と要介護認定リスクとの関連:男女に共通して血清アディポネクチン値の高い者、夜間睡眠時間の長い男性、日中睡眠をしている女性で、要介護認定リスクが有意に上昇した。
結論
介護予防事業による要介護認定者数・介護給付費の増加抑制効果と費用節減効果が示唆された。運動器の機能向上プログラムの効果的な実施方法(月8回以上の実施、マシンによる筋力増強訓練・持久性訓練)が分かった。

公開日・更新日

公開日
2011-09-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025009Z