今後の難病対策のあり方に関する研究 | 厚生労働科学研究成果データベース

文献情報

文献番号

201024274A

報告書区分

総括

研究課題名

今後の難病対策のあり方に関する研究

課題番号

H22-難治・指定-001

研究年度

平成22(2010)年度

研究代表者(所属機関)

林　謙治(国立保健医療科学院)

研究分担者(所属機関)

金谷　泰宏(国立保健医療科学院　政策科学部)
緒方　裕光(国立保健医療科学院　研究情報センター)
奥村　貴史(国立保健医療科学院　研究情報センター　情報評価室)
土井　由利子(国立保健医療科学院　研修企画部)
横山　徹爾(国立保健医療科学院　人材育成部)
高橋　邦彦(国立保健医療科学院　技術評価部)
熊川　寿郎(国立保健医療科学院　経営科学部)
菅原　琢磨(国立保健医療科学院　経営科学部　サービス評価室)
平塚　義宗(国立保健医療科学院　経営科学部　情報マネジメント室)
松繁　卓哉(国立保健医療科学院　福祉サービス部)
橘　とも子(国立保健医療科学院　研究情報センター　情報デザイン室)
奥田　博子(国立保健医療科学院　公衆衛生看護部　看護マネジメント室)
小林　健一(国立保健医療科学院　施設科学部)
島崎　大(国立保健医療科学院　水道工学部　施設工学室)
種田　憲一郎(国立保健医療科学院　政策科学部　安全科学室)
山岡　和枝(国立保健医療科学院　技術評価部　開発技術評価室)
児玉　知子(国立保健医療科学院　人材育成部　国際保健人材室)
藤原　武男(国立保健医療科学院　生涯保健部　行動科学室)
武村　真治(国立保健医療科学院　公衆衛生政策部　地域保健システム室)
羽田　明(千葉大学大学院　医学研究院　環境医学講座)
稲澤　譲治(東京医科歯科大学（難治疾患研究所）)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野難治性疾患克服研究

研究開始年度

平成22(2010)年度

研究終了予定年度

平成24(2012)年度

研究費

110,000,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

わが国及び諸外国における過去の難病対策の動向や成果を分析し、現在の難病対策の基盤となる研究開発環境を整備するための方法論を開発し、将来の難病対策のあり方を検討することによって、今後の難病対策を推進する上で行政が抱える様々な課題に対して政策的提言を行う。

研究方法

臨床調査個人票の有効活用及び臨床データベースの構築（電子カルテから直接臨床情報を抽出できるシステムの構築）、難病研究推進のための高度統計手法（特に死亡数の少ない疾患の地域比較）の開発と応用、難病患者の実態把握の手法の開発（自記式調査票を用いた生活実態の把握、フォーカスグループインタビューを用いた日常生活上の問題の抽出）、都道府県の災害健康危機管理・災害弱者支援対策の問題点の抽出、診断困難症例の情報収集・集約・分析・提供システムの開発、病態解明に向けた原因不明先天異常バイオバンク構築と潜在的ゲノム構造異常解析、難病に関する技術評価の手法の開発（難病に関する臨床研究の実施状況の把握、諸外国の希少疾患対策の実態調査、難治性疾患克服研究事業における効果的な研究評価と研究支援の手法の開発）を行った。

結果と考察

　難病患者の世帯の経済的支援としては、患者本人の就労支援の充実ならびに離職防止が重要であることが示唆された。難病患者に共有される日常生活上の困難として情報・支援へのアクセスが抽出された。
　在宅要医療難病患者の災害発生時の医療体制の問題として、看護者・介護者の不足・不在、医薬品の不足・非補充、医療機器故障時の対応不足、医療継続者の不足・不在が抽出された。
　海外諸国ではわが国のような医療費助成制度は存在せず、慢性疾患全般への補助の一環として、また身体・精神的障害に対する社会保障の枠組みの中での福祉が実現されている。また希少疾患医薬品開発に関しては、国の助成制度だけでなく、国際ネットワークの構築に向けた患者組織や製薬企業をパートナーとした協力関係を発展させている。

結論

臨床調査個人票を活用した臨床データベースの構築と疫学研究・臨床研究の基盤整備、難病研究の推進方策の開発は難治性疾患克服研究事業の全ての研究班にとって有用であること、難病患者の生活実態の把握と支援方策の開発によって患者及びその家族のニーズに適合し、彼らのQOLの向上に貢献できるような具体的な行政施策を提案することが可能であることが示唆された。