先天性横軸形成障害(前腕欠損、上腕欠損)に対する個性適応型情報処理に基づいた筋電義手の治療指針作成

文献情報

文献番号
201024270A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性横軸形成障害(前腕欠損、上腕欠損)に対する個性適応型情報処理に基づいた筋電義手の治療指針作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-215
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高木 岳彦(独立行政法人国立成育医療研究センター 外科系診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 横井 浩史(電気通信大学 電気通信学部)
  • 高山 真一郎(独立行政法人国立成育医療研究センター 外科系診療部)
  • 関 敦仁(独立行政法人国立成育医療研究センター 外科系診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性横軸形成障害(上腕欠損、前腕欠損)は、健常肢のような上肢を再生できない現状において、運動と知覚機能を工学系の技術を用いて外部装置に置き換える筋電義手でのみ克服可能と考える。しかしながら、現在市販されている筋電義手は手指全体の屈伸にとどまるものが多く、健側と同様の機能の再現という水準には至っていない。そのため、個々の事例にあわせ後天的に獲得させる個性適応型制御を導入して、軽量化・小型化、そして、多元的で高密度なセンサシステムと合わせて開発を進める。また同疾患は稀少な疾患であるため患者数の実態把握についても同時に実施する。
研究方法
本研究では,先天性横軸形成障害によって欠損した運動機能を代替し,日常生活に利用できるレベルの触覚フィードバックを有する上肢筋電義手を開発した。同時に我が国における先天性横軸形成障害(前腕欠損、上腕欠損、手指欠損)の患者数の実態把握についても実施した。全国86の小児専門病院、肢体不自由施設に調査票を送付した。
結果と考察
3chの表面筋電センサにより前腕筋群から取得した筋電位信号を用いて,14種類の動作を識別する当研究室での技術や干渉駆動機構を実現したパワーアシスト機器制御システムを小児例においても生かす予定であったが、軽量化の実現が困難であったため、動作を限定して、装着に対するコンプライアンスを上げることに主眼を置き、個々の事例に合わせた小児手指用モバイルパワーアシスト装置の作成を行った。
また、患者数の実態把握調査では、全国の小児専門病院、肢体不自由施設86に調査票を送付し、有効回答数は48(回答率55.8%)であった。患者数の内訳は上腕欠損 10(男6、女4)、前腕欠損55(男34、女21)、手指欠損334(男190、女144)であった。
結論
多くの運動自由度を制御できる筋電義手を先天性横軸形成障害をもつ患者にも適応することができた。今後、症例数を増やしつつ、当該患者について定期的に装着期間の調査、物体把握の評価を行い、装着開始至適年齢を定め、一定の治療指針を決定していくことが重要と考える。さらには、手指欠損患者が多くを占めた結果より、この技術を今後、前腕欠損、上腕欠損のみならず手指欠損にも広げ、義指の開発も進めていく方針も定まった。今後、先天性横軸形成障害をもつ患者に対して、その普及の可能性を大きく広げ、一定の治療指針を作成していく準備ができたと結論付ける。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024270C

成果

専門的・学術的観点からの成果
欠損高位,年齢の違いを考慮した筋電義手を開発した。また、触覚フィードバックシステム、表面筋電センサを適用し,すべりを検知し自動的に握りなおす機能を付与することに小児用筋電義手にも成功した。本研究の実施期間が実質6カ月と短期間であったが、研究の根幹となる義手ロボットと筋電センサの設計開発を行い、それ以外の触覚フィードバックシステムや個性適応型制御コントローラなどの適用可能性の検証までを行うことができた。
臨床的観点からの成果
本疾患は稀少な疾患であるため患者数の実態把握について、全国86の小児専門病院、肢体不自由施設に調査票を送付しこれを実施した。手指欠損患者が多くを占めた結果より、本研究を前腕欠損、上腕欠損のみならず手指欠損にも広げ、これらの患者に対する義指の開発も急務であることを把握した。今後、本研究で得られた技術を手指欠損患者に対する義指開発にも応用し、開発に着手する方針が定まった。
ガイドライン等の開発
先天性横軸形成障害をもつ患者に対して、その普及の可能性を大きく広げたが、本研究の実施期間においては、個々の事例に合わせた小児用モバイルパワーアシスト装置の作成に主な時間を費やした。そのため、一定の治療指針を作成していく準備ができた段階であるが、現在のところ、装飾義手を先ず作製し常時装着・使用が可能となった段階で筋電義手に移行し、乳幼児発達スケール等を用いた入念な評価を行う方針としている。症例数を重ね、その結果を踏まえガイドラインを設定していく予定である。
その他行政的観点からの成果
現在、一定の治療指針を作成していく準備ができた段階であり、今後、症例数を増やしつつ、入念な評価を行い、ガイドラインを設定していく予定である。
その他のインパクト
今後、治療指針が定まり次第、今回開発の筋電義手・義指について、マスコミ等を通じ、情報を発信していく予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
1件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2015-05-21

収支報告書

文献番号
201024270Z