文献情報
文献番号
201024263A
報告書区分
総括
研究課題名
好酸球性副鼻腔炎の疫学、診断基準作成等に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-208
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤枝 重治(福井大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 野口 恵美子(筑波大学 人間総合科学)
- 玉利 真由美(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター)
- 池田 勝久(順天堂大学 医学部)
- 石戸谷 淳一(横浜市立大学 市民総合医療センター)
- 河田 了(大阪医科大学)
- 春名 眞一(獨協医科大学)
- 平川 勝洋(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 )
- 川内 秀之(島根大学 医学部)
- 氷見 徹夫(札幌医科大学)
- 岡野 光博(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 吉川 衛(東京慈恵会医科大学)
- 浦島 充佳(東京慈恵会医科大学)
- 坂下 雅文(福井大学医学部附属病院)
- 飯野 ゆき子(自治医科大学附属さいたま医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本邦での鼻副鼻腔・中耳疾患は、好中球浸潤を主体とする病変が中心であったが、最近好酸球浸潤を主体とする難治性の病変が増えてきた。篩骨洞病変が主体、嗅覚障害が主訴、鼻茸の存在、鼻粘膜・血中好酸球増加を伴う好酸球性副鼻腔炎で、病変が進行すると、副鼻腔に留まらず中耳にまで進展し、中耳炎を併発する。本研究では、この好酸球副鼻腔炎とその進行した好酸球中耳炎の臨床的特徴から診断基準を確立し、罹患率、他のアレルギー疾患合併率の確定を目的とする。
研究方法
平成19年から平成21年までの3年間11施設で行われた副鼻腔炎手術症例を抽出し、データシートを作成した。病理組織を福井大学に集め、浸潤好酸球数を400倍視野で計測した。好酸球性副鼻腔炎の最終診断は、主治医の診断を参考に、臨床データと組織中好酸球数、血中好酸球率を照らし合わせ好酸球性副鼻腔炎と決定した。解析は、好酸球性副鼻腔炎の診断に一致するか単ロジスティック解析後、多変量解析し、重み付けをした。
結果と考察
症例は3014例集まった。好酸球性副鼻腔炎の診断をした症例は832例(27.6%)、好酸球性中耳炎は38例であった。鼻茸・粘膜組織における好酸球浸潤は116.3±184.1個であった。重み付けの結果、年齢15歳未満:-3点、70歳以上:-1点、両側疾患あり:+1点、鼻茸あり:+1点、嗅裂閉鎖あり:+1点、薬物アレルギーあり:+1点、篩骨洞陰性優位:+1点、血中好酸球率において3%以上-5%未満:+2点、5%以上-8%未満:+3点、8%以上:+4点となった。スコア5点で区切ると感度76%(95%CI 73-79%)、特異度72%(95%CI 70-73%)であるとともに、Positive predictive value 53% (95%CI 51-56%)、Negative predictive value 88% (95%CI 86-89%)であった。
結論
これまで好酸球性副鼻腔炎に特徴的であった症状、所見はやはり同様に有意であった。ただ好酸球性副鼻腔炎の率が予想より高かったのは、大学病院が主体のため難治症例が多いためだと思われる。今後、慢性副鼻腔炎手術症例の前向き研究で、完全な臨床データを作成し、感度、特異度を求める。この前向き研究によって別の面からのより確実な診断基準が確立できかつ確認できると考える。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-