文献情報
文献番号
201024262A
報告書区分
総括
研究課題名
周産期の難聴のハイリスクファクターの新分類と診断・治療方針の確立
課題番号
H22-難治・一般-207
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 竹腰 英樹(東京医療センター 臨床研究センター)
- 新正 由紀子(東京医療センター 臨床研究センター)
- 内山 勉(東京医療センター 臨床研究センター)
- 松永 達雄(東京医療センター 臨床研究センター)
- 福島 邦博(岡山大学 医学部)
- 神田 幸彦(神田耳鼻咽喉科entクリニック)
- 坂田 英明(目白大学 保健医療学部)
- 城間 将江(国際医療福祉大学 保健学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
米国の小児科・耳鼻科合同委員会が1994年に提案した周産期難聴の10大ハイリスクファクター(以下、旧ハイリスクファクター)に関連した難聴は、病態生理だけでなく、重度難聴、中等度難聴、進行性難聴ごとにどのような疾患背景があるのかを調べ明らかにし、その難聴を呈するものとしないものの病態生理がどのようなものか、分子遺伝学的、微生物学的、生化学的あるいは電気生理学的に明らかにすることを最終的な目標とする。
研究方法
1.周産期感音難聴症例について、①初めの聴力が固定した場合、難聴が進行している場合、聴力が改善する場合の病態生理を調べる。②進行した時にどのような治療が行われたかを明らかにする。③背景の疾患別の差を比較検討する。④補聴器のフィッティング。⑤人工内耳の装用の割合を難聴のハイリスクファクターごとに明らかにする。
2.周生期難聴感音症例について、固定、進行、改善の全例において3-4ヶ月ごとにフォローアップし、精密聴力検査を実施、初めは全例補聴下の教育を行うが、1歳半以降の言語発達に応じて補聴器か人工内耳手術か判断する。改善した場合はその機序について解明する。
3.旧ハイリスクファクター10項目ごとに、新生児聴覚スクリーニングが一般化した現在、この項目が有用であるか、頻度(患者数)と重症度の面から調査する。
4.本研究で明らかとなる新たなハイリスクファクターを提案する。
2.周生期難聴感音症例について、固定、進行、改善の全例において3-4ヶ月ごとにフォローアップし、精密聴力検査を実施、初めは全例補聴下の教育を行うが、1歳半以降の言語発達に応じて補聴器か人工内耳手術か判断する。改善した場合はその機序について解明する。
3.旧ハイリスクファクター10項目ごとに、新生児聴覚スクリーニングが一般化した現在、この項目が有用であるか、頻度(患者数)と重症度の面から調査する。
4.本研究で明らかとなる新たなハイリスクファクターを提案する。
結果と考察
本年度は旧ハイリスクファクターごとに研究班施設症例をもとに調べたが、この10項目は現実と合わなくなっていため、われわれの研究の成果をもとに、難聴ハイリスクファクターをMajorとMinorに分けて考えることにした。Majorとは頻度が多いこと、Minorとは頻度が少ないことを意味し、難聴の重症度を意味するものではない。Major 6項目は①超低体重児、②胎内感染(サイトメガロウィルス)、③細菌性髄膜炎、④ダウン症候群、⑤奇形症候群(小耳症を含む)、⑥難聴遺伝子変異、Minor 7項目は①人工換気(低酸素障害、②耳毒性薬物、筋弛緩剤、③CMV以外のウィルス感染、④新生児高ビリルビン血症、⑤ダウン症以外の染色体異常、⑥内耳奇形、⑦その他。後天性では極めて難聴をきたすことがあるもの(例:大腸菌による腸管出血性尿毒症、小腸短縮症など)である。
結論
1994年の周産期難聴の旧ハイリスクファクターは、新生児聴覚スクリーニング後、重要な項目に変化があり、新たにMajor 6項目とMinor 7項目に分け、臨床の現場に使いやすく提案した。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-