文献情報
文献番号
201024261A
報告書区分
総括
研究課題名
ステロイド依存性感音難聴の新しい診断法および診断基準に関する検討
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-206
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
井上 泰宏(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 小川 郁(慶應義塾大学 医学部)
- 神崎 晶(慶應義塾大学 医学部)
- 梅澤 明弘(独立行政法人国立成育医療研究センター)
- 松延 毅(防衛医科大学校 医学部)
- 武井 泰彦(杏林大学 医学部)
- 五島 史行(慶應義塾大学 医学部)
- 佐藤 宏昭(岩手医科大学 医学部)
- 喜多村 健(東京医科歯科大学 医学部)
- 佐野 肇(北里大学 医学部)
- 中川 尚志(福岡大学 医学部)
- 福島 邦博(岡山大学 医学部)
- 山下 大介(神戸大学 医学部)
- 曽根 三千彦(名古屋大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ステロイド依存性感音難聴の診断は、治療を兼ねて副腎皮質ステロイドを投与し、聴力改善の有無を調べることで行われている。この方法では副腎皮質ステロイドの長期投与を伴うため、副作用が出現するリスクが高く、診断が確定するまでに時間を要する。また、その疾患概念が必ずしも明確でないために、臨床の現場では混乱が生じている。本研究では、本疾患の病態を明らかにし、新たな分かりやすい診断基準を作成することを第一の目的とした。
一方、海外では広く使用されているものの、我が国内では保険認可されていないため、臨床的には使用されていない本疾患の診断キットが、我が国の症例においても有用であるかを検討するとともに、症例から採取した血液データを分析して、このキット以外の客観的な診断法についても検討した。
一方、海外では広く使用されているものの、我が国内では保険認可されていないため、臨床的には使用されていない本疾患の診断キットが、我が国の症例においても有用であるかを検討するとともに、症例から採取した血液データを分析して、このキット以外の客観的な診断法についても検討した。
研究方法
各施設で「ステロイド依存性感音難聴」もしくは「疑い例」と診断した症例の臨床像を比較検討し、病態を分類した。また、これらの症例に対して血液検査を行い、白血球数や炎症反応、抗核抗体の有無や免疫グロブリン、炎症性サイトカイン( IL17など)等について検討を行なうとともに、診断キット(Otoblot)による検査を行い、その有用性について検討した。
結果と考察
本疾患の病態を整理して分類した表を作成した。一方、実質6か月間の研究期間で41例の対象に49回採血を行った結果、好酸球数減少が26件(53%)、MMP-3高値が17件(35%)に認められた。Otoblotの検査では49検体中20検体(41%)に陽性所見が認められたが、内耳型の確実例11例中における陽性例は2例のみであったことから、Otoblotは必ずしも有効な診断キットであるとは言えないと考えられた。血清中サイトカインの検討では、IL-6、IL-7、IL-8、IL-17、TNF-αといった、自己免疫疾患に関与すると考えられている因子に変化が認められた症例が多数あったことから、今後さらに検討する必要があると考えられた。
結論
1.ステロイド依存性感音難聴の新たな分類表を作成し、暫定的な診断基準(案)を提唱した。
2.ステロイド依存性感音難聴症例に対して血液検査を行い、客観的な診断法について検討した。
3.血液検査では、好酸球数、MMP-3、IL-6、IL-7、IL-8、IL-17、TNF-αなど、いくつかの項目で特徴的な所見が認められた。
2.ステロイド依存性感音難聴症例に対して血液検査を行い、客観的な診断法について検討した。
3.血液検査では、好酸球数、MMP-3、IL-6、IL-7、IL-8、IL-17、TNF-αなど、いくつかの項目で特徴的な所見が認められた。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-