文献情報
文献番号
201024260A
報告書区分
総括
研究課題名
Pendred症候群の発症頻度調査と現状に即した診断基準の確立
課題番号
H22-難治・一般-205
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松永 達雄(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部 聴覚障害研究室)
研究分担者(所属機関)
- 泰地 秀信(国立成育医療研究センター 耳鼻咽喉科)
- 守本 倫子(国立成育医療研究センター 耳鼻咽喉科)
- 有本 友季子(千葉県こども病院 耳鼻咽喉科)
- 仲野 敦子(千葉県こども病院 耳鼻咽喉科)
- 高木 明(静岡県立総合病院 耳鼻咽喉科)
- 小河原 昇(神奈川県立こども医療センター 耳鼻咽喉科)
- 益田 慎(広島県立広島病院 小児感覚器科)
- 阪本 浩一(兵庫県立こども病院 耳鼻咽喉科)
- 大津 雅秀(兵庫県立こども病院 耳鼻咽喉科)
- 増田 佐和子(国立病院機構三重病院 耳鼻咽喉科)
- 尾藤 誠司(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター政策医療企画研究部 臨床疫学研究室)
- 加我 君孝(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
- 岡本 康秀(慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Pendred症候群は常染色体劣性遺伝形式の感音難聴、蝸牛奇形、甲状腺腫を特徴とする疾患である。進行性、変動性の高音漸減型感音難聴や、反復性のめまい症状、遅発性の甲状腺腫や、甲状腺機能低下症により、患者の社会生活に与える影響は大きい。本研究では日本人のPendred症候群患者数を解明することを第一の目的とした。さらに本症の早期診断は、難聴、めまい、甲状腺腫の治療法の選択および増悪の予防に役立つため、現状に即した合理的なPendred症候群の診断基準の確立を第二の目的とした。
研究方法
患者数の把握のために、過去3年以内にPendred症候群と診断された患者数をアンケート形式にて全国調査した。また、診断基準の確立のためにPendred症候群を疑わせる患者およびその家族62家系87人を対象として、SLC26A4遺伝子変異の種類と頻度および臨床的特徴を検討した。
結果と考察
アンケート実施1078施設中、回答を得られた施設は681施設で、回収率は63.2%であった。全推定診療患者数は270名で、95%信頼区間は190から350名であることが判明した。今回の調査は症状からの推測であるが、Pendred症候群の原因遺伝子であるSLC26A4遺伝子の検査が今後普及することにより、将来は遺伝子から本症候群の患者数を推測することも可能となり、両者の比較で発症に関連する要因などの解明も可能となる。
遺伝子解析の結果、病的変異が同定された32人中の30人で2アレルに同定されて原因が確定し、遺伝子診断の有効性が示された。21種類の病的変異が同定され、その中の6種類は新規変異であり、シークエンスによる解析の必要性が確認された。前庭水管拡大の確実例とボーダーライン例でSLC26A4遺伝子変異の頻度を比較検討したところ、前者で89%、後者で33%で認められることが判明した。Pendred症候群の患者群と健聴コントロール群の前庭水管のCT画像検査所見を比較して、患者群に感度と特異性の高い前庭水管拡大の基準を定めた。
遺伝子解析の結果、病的変異が同定された32人中の30人で2アレルに同定されて原因が確定し、遺伝子診断の有効性が示された。21種類の病的変異が同定され、その中の6種類は新規変異であり、シークエンスによる解析の必要性が確認された。前庭水管拡大の確実例とボーダーライン例でSLC26A4遺伝子変異の頻度を比較検討したところ、前者で89%、後者で33%で認められることが判明した。Pendred症候群の患者群と健聴コントロール群の前庭水管のCT画像検査所見を比較して、患者群に感度と特異性の高い前庭水管拡大の基準を定めた。
結論
以上の結果を基に現状に即した合理的なPendred症候群の診断基準(案)として、1)前庭水管拡大の新たな基準、2)Perchlorate放出試験とSLC26A4遺伝子検査との差し替え(詳細は本年度総括研究報告書を参照)を提案した。この活用によりわが国における本症候群の診断が促進されると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-