Bloom症候群とその類縁疾患の実態調査、早期診断法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201024252A
報告書区分
総括
研究課題名
Bloom症候群とその類縁疾患の実態調査、早期診断法の確立に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-197
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
金子 英雄(岐阜大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 深尾 敏幸(岐阜大学 大学院医学系研究科)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医学系)
  • 清河 信敬(独立行政法人国立成育医療センター研究所)
  • 内田 靖(独立行政法人国立病院機構長良医療センター)
  • 滝田 順子(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群は、小柄な体型、日光過敏性紅斑、免疫不全を特徴とする。特に際だった特徴は、高率に癌腫を合併することである。早期に、診断し癌腫の発症を定期的にフォローすることが、QOL向上、生命予後の改善につながると考えられる。本研究の目的は、Bloom症候群とその類縁疾患であるRothmund-Thomson症候群の、本邦における実態を明らかにし、そのQOL向上に寄与することを目的とする。
研究方法
本研究班において、全国アンケート調査を行い、両症候群の患者数の把握を行った。全国の小児科専門医研修施設515病院、皮膚科を有する総合病院500病院、がん診療拠点病院377病院に対して、アンケート調査を行った。一次アンケートにて確定例または疑い例ありの場合、二次アンケートを送付した。患者リンパ球を用いて姉妹染色分体の組み換え(SCE)の検出を行った。さらに、患者におけるBLM遺伝子、BLMタンパクの解析を行った。
結果と考察
Bloom症候群の確定例は9例であったが、そのうち、8例は、本研究班で、把握されていた症例であり、十分な日本人症例の把握ができていると考えられた。Rothmund-Thomson症候群は確定例が、9例、疑い例が11例であり、日本での実態が初めて明らかになった。Bloom症候群のスクリーニング法として、姉妹染色分体の組み換え(SCE)が有用であることを明らかにした。さらに、比較的commonなBLM遺伝子変異を簡便に検出する方法を確立した。また、Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群における免疫不全についての基礎的な解析を行った。
結論
以上の成果をふまえて、Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群の診断指針を作成した。今後、二次調査の結果も、診断指針に、適宜反映させていく予定である。Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群の生命予後を左右するのは、悪性腫瘍の合併である。本診断指針を一般の小児科医、皮膚科医、内科医等に広く知ってもらうことで、早期に診断される症例が増え、生命予後の改善につながると考えられる。今後も、本疾患のQOLの向上のために、さらに、研究を続けていきたい。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024252C

成果

専門的・学術的観点からの成果
Bloom症候群の診断に重要な、姉妹染色分体交換の頻度を測定する方法を確立した。本邦のBloom症候群において比較的共通して存在する遺伝子変異を同定した。
臨床的観点からの成果
アンケート調査により、本邦におけるBloom症候群、Rothmund-Thomson症候群の患者数を明らかにした。また、詳細なに二次調査を施行中である。
ガイドライン等の開発
アンケートをもとに、Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群の診断指針を作製した。
その他行政的観点からの成果
今まで明らかになっていなかった遺伝性好発癌性疾患であるBloom症候群、Rothmund-Thomson症候群の、本邦での実態が初めて明らかになった。
その他のインパクト
平成22年12月23日に、難治性疾患克服事業の研究班である「インターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)欠損症の全国症例数把握及び早期診断スクリーニング・治療法開発に関する研究班」と合同の班会議を開催した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
33件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
18件
第4回日本免疫不全症研究会 2011年1月22日、福岡等
学会発表(国際学会等)
10件
ASPR symposium, Denver, Colorad, USA 2011年5月1日等
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kaneko H, Fukao T, Kasahara K., et al
Augmented cell death with Bloom syndrome helicase deficiency
Molecula Medicine Report , 4 , 607-609  (2011)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024252Z