文献情報
文献番号
201024251A
報告書区分
総括
研究課題名
Congenital dyserythropoietic anemia(CDA)およびサラセミア貧血の効果的診断法確立に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-196
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
真部 淳(財団法人 聖路加国際病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 北川 道弘(独立行政法人国立成育医療研究センター)
- 鈴木 信太郎(関西学院大学 理工学部)
- 小島 勢二(名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学)
- 小原 明(東邦大学医療センター大森病院 輸血部)
- 藤本 純一郎(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
- 多賀 崇(滋賀医科大学 小児科)
- 渡邉 健一郎(京都大学大学院医学研究科 発達小児科学)
- 関沢 明彦(昭和大学医学部 産婦人科)
- 高林 晴夫(金沢医科大学 FDD-MB Center)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の第1の目的はCongenital dyserythropoietic anemia(CDA:先天性赤血球産生異常性貧血)の疾患像を明らかにすることである。本研究の第2の目的はサラセミアの出生前診断法を確立することである。
研究方法
CDAについては日本小児血液学会疾患登録、中央診断事業をもとに、我が国におけるCDAの把握ならびに診断を行う。サラセミアについては男児を妊娠した妊婦30名より、母体末梢血をEDTA加採血管に採取し検体とした。レクチン法により細胞を分離・濃縮し、抗胎児性ヘモグロビン抗体を用いた蛍光免疫染色によりNRBC候補細胞を同定後、Y染色体特異的プローブを用いたFISH法を行った。
わが国の先天性造血不全症候群の診療の問題点を討論するため、他の研究班と協力してシンポジウムを開催した(平成23年2月5日、於千葉、主催:水谷修紀東京医科歯科大学小児科教授、真部淳)。
わが国の先天性造血不全症候群の診療の問題点を討論するため、他の研究班と協力してシンポジウムを開催した(平成23年2月5日、於千葉、主催:水谷修紀東京医科歯科大学小児科教授、真部淳)。
結果と考察
CDAについては分担研究者の多賀が以前おこなったCDAの全国調査ならびに今回の調査で新たに調査されたCDAとその疑い症例に、現在2次調査と中央遺伝子診断を開始した。現在までに8例の検体が集まり2例で解析が終了し、1例でCDAN1の変異が、1例でSEC23Bの変異が見つかった。また、本疾患の診療ガイドラインを作成した。
サラセミアについては、レクチン法により母体末梢血から分離した細胞を用いて免疫染色の条件を絞り込み、抗胎児性ヘモグロビン抗体陽性かつDAPI陽性細胞をNRBC候補とした。Y染色体特異的プローブを用いたFISH法により候補細胞からシグナルを検出した。また、18トリソミーと疑われる妊婦の母体血から、FISH法により3つの18番染色体のシグナルを検出した。またスライドガラス上に分離した細胞群からレーザーマイクロダイセクションにより、NRBCを単離した。単離したNRBCに対するPCR法での遺伝子解析のための条件検討を開始している。
サラセミアについては、レクチン法により母体末梢血から分離した細胞を用いて免疫染色の条件を絞り込み、抗胎児性ヘモグロビン抗体陽性かつDAPI陽性細胞をNRBC候補とした。Y染色体特異的プローブを用いたFISH法により候補細胞からシグナルを検出した。また、18トリソミーと疑われる妊婦の母体血から、FISH法により3つの18番染色体のシグナルを検出した。またスライドガラス上に分離した細胞群からレーザーマイクロダイセクションにより、NRBCを単離した。単離したNRBCに対するPCR法での遺伝子解析のための条件検討を開始している。
結論
わが国のCDAの実態の正確な把握をし、よりよい治療法を開発するため、今度も調査、研究が必要である。また、レクチン法により母体血からNRBCを同定し、非侵襲的に胎児の遺伝子解析が可能であることが示唆された。今後も精度向上のための条件最適化が必要であると共に、シングルセルレベルでの遺伝子解析の条件を確立する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-